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映画『残酷で異常』ネタバレ感想:妻を殺害してしまった男が陥ったループ地獄

『残酷で異常』

Amazonプライムにあった『残酷で異常』という映画を視聴しましたので感想書いておこうと思います。タイトルから精神異常者の残酷ホラー物語かと思ったのですが、違いました。ループものでなかなか面白かったです。

あらすじ

主人公エドガーはバスルームで倒れている妻メイロンの心臓マッサージを泣きながら行っていますが、蘇生は叶いませんでした。エドガー自身もその場に倒れて死んでしまいます。次の瞬間、エドガーは車の運転をしていました。助手席には妻メイロンがいます。先ほどの出来事が夢だったのかもわからず混乱しているエドガーは車を止めて車外に出ると、近くにあった木の元へ吸い寄せられるように駆け出して行きます。そこへ、メイロンの連れ子ゴーガンが通う学校から電話がかかってきました。ゴーガンが友人に怪我をさせてしまったのです。メイロンはゴーガンの心配をしますが、エドガーは放っておけという態度です。ゴーガンは夜になっても家に戻って来ません。メイロンの作ったメヌードを食べたエドガーは具合が悪くなってしまいます。エドガーは元々胃潰瘍を患っており、休むために自分の部屋の扉を開けると、その先は見たこともない場所の廊下でした。戸惑いながら進んで行くと、エドガーはとある部屋に辿り着きます。部屋の中では、古めかしいテレビの前に老若男女が座っていました。テレビに映っている女性が「あなたを待っていたのよ」とエドガーに語り掛けてきます。そこは、殺人を犯した人間たちが集まるグループセッションの場でした。

作品情報&予告動画

原題Cruel and Unusual
監督マーリン・ダービスビック
脚本マーリン・ダービスビック
音楽マーク・コーベン
出演者デヴィッド・リッチモンド=ペック
ベルナデッタ・サクイバル
ミシェル・ハリソン

ネタバレ感想

犯した罪を認めて罰を受けるためのループ

自分から離れていきそうなメイロンに怒ったエドガーはメイロンを殺害してしまったわけなんですが、嫉妬深く束縛が激しい上にゴーガンを遠くへ追いやろうとしたエドガーとの生活に耐えきれず、メイロンもまたエドガーのスープに毒を混ぜて殺そうとしていたのです。だからエドガーも、メイロンが死んだ直後に死んでしまっていたわけです。そして、自分の犯した罪を認めて罰を受け入れさせるために、エドガーは死後の世界で殺人者たちのグループセッションに強制参加させられ、妻を殺害するあの日をループさせられているのです。ループを繰り返すことにより曖昧だった記憶がはっきりし、メイロンやゴーガンの視点からもあの日に何が起きたのかが解明されていく過程が面白かったです。少しずつ全容が解明されていくので、途中、メイロンとエドガー兄との不倫を疑っちゃったりして、でも、最後まで見るとそうじゃなかったよっていうのがわかるんですよね。エドガーは自分という人間がどういう人間だったかを客観的に知ることで、罪を認めていくのです。
あのグループセッションは、言わば殺人者たちが死後に辿り着いた地獄ですよね。罪を犯した日を永遠にループさせられ、あの日をやり直したいという後悔の念を抱きながら何度も何度も妻や子や親を殺すことを繰り返しているのです。
グループセッションに参加していたドリスの罪が自殺というのは、キリスト教だと自殺が罪とされているところからきているのでしょうね。それにしてもあのTVに映ってる女性が不気味で怖かったです。

腕に刻まれていた文字の意味

妻を殺害したエドガーの腕には『UXOR』という文字が刻まれていました。これはラテン語で『妻』という意味です。妻殺しや妻殺しの犯人のことを『uxoricide』というみたいですね。ドリスの腕には『EGO』と刻まれていました。これは『自己』とか『自我』とかいう意味です。つまり、何を殺したかが腕に刻まれているんですね。ウィリアムの腕に刻まれている文字は『PATRIS』と『MATRIS』に見えます。ラテン語で『父』『母』だと思います。Rだけが小文字に見えて確信が持てませんが。ジュリアンのは文字がよく見えないので解読する気が起きません。

メイロンとゴーガンの出身

メイロンはフィリピンからの移民で、エドガーが英語教師をしている夜間学校の生徒さんだったみたいですね。ふたりはそこで出会ったようです。序盤に出て来た『メヌード』って何だろうって思って検索したらメキシコ料理って出て来たのでメキシコ出身の奥さんなのかと思って観ていたのですが、後半になってゴーガンが『FOB野郎』って虐められていたことが判明し、『FOB』って何だと思って検索したら『Fresh Off the Boat』の略で、『最近渡って来たアジア系移民』を意味する差別用語でした。ゴーガンの叔父さんがミンドロ島にいると言っていたので、メイロンとゴーガンはフィリピン出身の移民なんですね。フィリピンでもメヌードが食されているみたいです。

重すぎる愛

エドガーの世界にドリスが入れることが判明し、エドガーはドリスにメイロンを助けるようにお願いします。気が進まないながらもドリスはメイロンを部屋に閉じ込め、何とかエドガーから守ろうとします。しかし、エドガーは自分がメイロンを殺さなければ今度はメイロンがエドガーを毒殺した罪でこのループ地獄に陥ることに気づきます。一方ドリスは、エドガーの家の外が自分の家の庭になっていることに気づきました。ポーチには愛する娘たちがいます。エドガーはドリスに助けを求めますが、ドリスは可愛い娘たちのそばから離れることができません。そしてその愛する娘たちがいる先には、木に首を吊って自殺しようとしている当時のドリスがいました。エドガーは木の元へ行き、ドリスの自殺を止めます。そして、エドガーは「重すぎたとしても」という言葉をメイロンに伝えて欲しいとドリスに頼み、本来ドリスが自殺するはずだった木に首を吊って自殺しました。それから時が流れ、ひとりのおばあさんの元にメイロンとゴーガンが訪ねてきます。一本の木の元に、三人は花を供えます。それはエドガーが自殺した木でした。エドガーは、メイロンに遺書を書き残していました。「心配しないで、これが一番いい方法だ。君とゴーガンが自由になれる唯一の道なんだ。何が起きても君を愛し続ける。もしそれが…」そこで遺書は終わっていました。「重すぎたとしても」と、おばあさんが続けました。おばあさんの腕には『EGO』の文字が。彼女はエドガーに助けられたドリスだったのです。

映画の冒頭でエドガーが不自然に木に駆け寄っていきましたが、あの木こそが1972年にドリスが自殺をし、ループ世界でエドガーが自殺することになる木だったわけですね。エドガーは確かに自己中心的で嫉妬と束縛が激しい最低な男でした。しかし、ループを繰り返すことで自分という人間を知り、メイロンやゴーガンの苦しみを知り、最終的には自分を犠牲にすることで彼らを救いました。重すぎる愛がずっと良くない方向で現れていてメイロンを苦しめていたわけですが、最後の最後に本当の愛を見せてくれたように思います。自分を殺して他人の幸せを守るのって、愛がなければできないと思いませんか。唯一、誰かの命を理不尽に奪ったわけではないドリスも救われましたし、終わり方が素敵だったと思います。

自殺をしたエドガーはまたあのグループセッションに参加しているわけですが、ドリス同様に皆から少し離れた椅子に座っていましたね。自殺者は殺人者達の輪の中に入らないのです。ドリスを救い、大切な人を守るために自殺を選んだエドガーは得意気です。まあ、お前らとは違うぞっていう気持ちにはなりますね。ドリスやエドガーの運命が変えられたのですから、他のみんなの運命も変えられるんだと思うのですが、もうループに慣れきってしまった人はそういう意志がないんですよね。もしかしたらあの新しく入って来た男性が、エドガーの自殺を食い止めてループ地獄から救ってくれるのかもしれませんね。

最後に

そこまで吃驚仰天の展開!というわけではないですが、面白かったです。個人的にはハッピーエンドだったと思います!ループものがお好きな方はぜひ鑑賞してみて下さい。

『残酷で異常』はAmazonプライムで視聴可能です。