映画『ダウントン・アビー』ネタバレ感想:英国貴族の世界を描いて大ヒットした海外ドラマが映画になって帰ってきました
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大人気英国ドラマシリーズ『ダウントン・アビー』の続編が映画になって帰ってきました!これドラマの方を見ていないとあまり楽しめない映画だと思います。
英国貴族の華やかな暮らしに興味があったり、多様なキャラクターによる群像劇が好きな方はぜひドラマの方から鑑賞することをおすすめします。
NHKで放送していたことがあるので、見ていた人も多いかもしれないですね。
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ダウントン・アビーとは?
ジュリアン・フェロウズによって制作されたイギリスのドラマシリーズです。2015年にシーズン6をもって完結しています。
1912年から25年のイギリスにある貴族のカントリー・ハウス「ダウントン・アビー」を舞台に、グランサム伯爵クローリー家とお屋敷の使用人たちが織り成す群像劇になります。実際に起きた歴史的事件なども背景にしながら、貴族たちの華やかな世界と階下で働く使用人たちの世界を描いています。とてもたくさんの登場人物がいるのですが皆個性的で、彼らが交わす会話がユーモアに溢れていて面白いです。イギリスらしい、ちょっと皮肉っぽい言い回しも魅力的です。家族愛、異性愛、同性愛、友情、身分、社交界、政治問題など色々なテーマが出てきます。貴族のお嬢様たちの華やかな衣装や壮大で美しいお屋敷なども見ていて楽しいです。ゴールデングローブ賞やエミー賞など数々の受賞した人気ドラマなのです。
内容忘れちゃったよという方、ドラマ見てないけど映画見てみたいという方は「10分でわかるおさらい動画」が公開されてますのでこちらをご覧になるといいと思います。
あらすじ
ドラマ完結から2年後。グランサム伯爵ロバート・クローリーの元に一通の手紙が届きます。それは英国国王夫妻がダウントンを訪問されるという報せだった。
長女のメアリーを筆頭に、お屋敷の人間は上階も下階もロイヤルファミリーをもてなす準備に大わらわ。執事を引退したカーソンまでもが助けに呼びも出される。
女王の侍女モードはロバートの母である先代伯爵夫人バイオレットの従妹にあたるが、この二人の間には何やら因縁があるようで、一悶着起きそうだ。到着したロイヤルファミリー付きの従者たちとダウントンの使用人たちの間でも激しい対立が起きる。
果たして、謀略とロマンスが渦巻くロイヤルファミリーのご訪問を無事に終えることができるのだろうか?そして、時代が変わりゆく中でダウントン・アビーに未来はあるのだろうか?
ネタバレ感想
2時間で終わらせるには詰め込み型の展開になるよね~って感じでした。キャラクターが多いですから、ひとつひとつの事件を緻密に掘り下げて描くことはできないですよね。色々起きるんだけど、テンポよく解決していきます。これはドラマファンのためのご褒美映画みたいなものですから。内容よりも、大好きなキャラクターや懐かしいダウントンに大きなスクリーンで会えることを楽しむ映画ですね。ファンはそれだけで大満足なのです。
階下の謀略
ロイヤルファミリーのご訪問ということで、「国王夫妻に給仕できる」「自分の食材が国王夫妻のお口に入る」などと浮足立つモールズリーや仕入れ先のおじさん。モールズリー、教師になったのにちゃっかり給仕狙ってます(笑)けれど、ロイヤルファミリーの従者たちが視察に来ると、食材は全部自分たちで用意し、料理もこちらのシェフが担当し、給仕も全てこちらで行うのでダウントンの使用人たちは何もするなと言われてしまいます。
自分たちのお屋敷なのに、いくらロイヤルファミリー付きの従者だからって好き勝手されては黙っていられません。真面目で責任感のあるカーソンは前向きではありませんが、ヒューズさんやアンナ達はみんなでロイヤルファミリー付従者たちを陥れる計画を立てます。デイジーは国王に批判的で、階級社会にちょっとうんざりしてるように見えますね。結構現代の感覚が反映されてるなと思いました。シーズン後半からそんな感じでしたっけね?物怖じしないというか図々しいというか。でもデイジーはすごく大人っぽくて綺麗になってました。アンディと幸せになってほしい。鋭いアンナは衣装係の人が窃盗をしていることに気づき、王室の衣装係が窃盗なんてスキャンダルになりたくなければレディ・イーディスの衣装を早急に直すように要求します。衣装係の人、あっさり窃盗を認めすぎなんですよね。アンナは何か証拠を押さえてるわけではないのに。尺の都合上、仕方ないでしょうけど。メイド等による窃盗は実際に多くあったようですね。アンナは王室のシェフに睡眠薬を飲ませて寝坊までさせましたね。やりすぎだし上手くいきすぎな感は拭えませんが、有能で可愛くてチャーミングなメイド長なので天も味方することでしょう。謀略がうまくいったチームダウントンは国王夫妻のお料理を作ることや給仕する役目を奪い取ります。モールズリーは相変わらずおっちょこちょいで笑わせてくれましたが、下僕が国王に話しかけるなんて絶対にあってはいけないんでしょうね。「それはパットモアさんが作ったんです」って言いたくなる気持ちはわかりますけどね。あの場の凍り付き方すごかったです。王妃が助け船出してくれてよかったです。しかしあの上階の人たちは誰一人、階下で起きていた騒動など露知らずなのです。貴族が優雅にお食事をしている下では使用人たちがマウンティングを取り合いプライドを傷つけ合い策略を張り巡らせて働いていたのです。それでちょっと下僕が粗相をしたらあの冷ややかさですから、階級社会って恐ろしい。
時代に苦しめられた男たちの春
チームロイヤルに掌握されてしまいそうなチームダウントンを見かねたレディ・メアリーは、引退したベテラン執事カーソンに戻ってくるよう頼みます。それを知った現執事のトーマス・バローは憤慨します。当たり前ですよ。何の相談もなく元上司が呼び戻されたら、「あなたじゃ力不足」って言われてるようなものですからね。ちょっと酷いメアリー…。彼女が酷いのは今に始まったことではないけれど。バローさんは拗ねて休暇を要求します。謀略大好き卑怯者のバローさん、意外にもあっさり引き下がりましたねえ。もっとチームロイヤルを出し抜く悪知恵を働かせて活躍すると思ったのですが、彼には別のプロットが用意されていました。チームロイヤルのイケメン従者と意気投合したバローさんは彼とバーで会う約束をします。しかしバローさんがバーで待っていると、「近くに良いバーがあるんだ、来いよ」と違う男に誘われます。そのバーとは予想通り、同性愛者たちが集まるバーでした。「こんなとこ知らなかった」と目を輝かせるバローさん。踊ったりして楽しんでいると、なんと警察が取り締まりにやってきます。この時代、同性愛はご法度なんです。バローさんは「初めてなんだ!」と弁解しますが捕まってしまいます。バローさんが車に乗せられる様子を物陰から見ているチームロイヤルのイケメン。わたしは「コイツ、ハメやがったか!」と思いましたが違いました(笑)。彼はバローさんが釈放されるように助けてくれました。あの意味深な眼差しは何だったのだ。二人は手紙のやり取りを約束します。よかったねえ、バローさん!時代が時代ですから、理解されずに苦しんでいた彼がようやく幸せを掴めそうで嬉しいです。バローさんは最初ほんと嫌な奴だったんですよ。クズです。映画とかドラマの同性愛者って善人寄りなことが多いと思うんですけど、希少なクズの同性愛者。クズな彼もシーズンが進むごとに少しずつ変わっていって、愛すべきキャラクターになり、すっかり応援したい一人になりましたね。とにかくよかった。
もう一人、ロマンスが描かれた人がいましたね。元運転手で故レディ・シビルの夫トム・ブランソンです。お相手は、女王の侍女モードのメイドでありモードの隠し子でもある女性です。ポッと出だしあまりキャラクターとして目立った特徴がないので良いお相手かどうか判断はできかねるけども(何目線)、運転手の身分から苦労してクローリー家の一員と認められたトムが幸せになるのは嬉しいです。わたし、シビルとトムのエピソードがすごく好きなんですよね。王道な身分違いの恋なんですけど。だから、トムにはいつまでもシビルだけを愛していてほしいっていう傲慢な気持ちが結構あるんです。なのでドラマでのちょっと我が強い教師だったかとのロマンスは受け入れられなかったんですけど、そろそろ新しい伴侶と幸せになってもいいよね(何様)。トムはロマンスもありますが、家族愛のエピソードの方も好きです。アイルランド出身のトムはイングランド王室をよく思ってないんですけど、そういう政治思想の違いを超えてクローリー家を愛し、彼らの名誉を守るために行動し、彼らを信頼している姿勢にグッと来ました。
フェミニズムとポリコレ
ドラマの時もそうでしたけど、映画ではより一層女性が強くなってますね。重要な話はほとんど女性間でなされてたように思うし、決定権なども女性にあったように思います。お屋敷を実質切り盛りしているのはメアリーだとしても、ちょっとロバートの存在感なさすぎて可哀想。今回彼、何かしましたっけ?階下で奮闘したのもアンナだったし、モールズリーに助け舟を出したのも女王だったし、ダウントンの将来を案ずる会話はメアリーとアンナ、メアリーとバイオレットの間でされてたと思うし。そして、妊娠しているイーディスは出産の時期に夫が国王からの誘いで不在なのが不安で、何とか国王の誘いを断ってほしいと頼むのですが、遠回しに「妻の出産とかぶってま~す」とアピールしてもうまくいきません。そんな時、母コーラは王ではなく女王の方に話をつけて、無事に国王からの誘いを断ることができたのです。これも、気が利かない国王に対して根回ししたのは女性であるコーラと女王です。恐らく女性に人気のドラマですし、フェミニズムやポリコレが強い英国なので仕方ないかなと思いますが、ちょっと時代背景的にどうなんでしょうか。イーディスのくだりなんて、現代の価値観を反映させすぎな気がしてちょっとモヤります。国王からのお誘いを妻の出産を理由に断るって、この時代でも考えられるんですかね?そりゃね、現代なら妻の出産に夫が不在って顰蹙物ですよ。わたしだって「は?」ってなりますけど。フェミニズムやポリコレのやりすぎは好きではないです。時代背景があるものは特に、バランスが大事。
移り変わる時代
20世紀に入ると、地代収入が減り広大な敷地や屋敷の維持が厳しくなって没落する貴族が現れるようになります。ダウントンも苦境に立たされていました。使用人を雇って優雅に暮らす貴族の暮らしは成り立たなくなりつつあるのです。メアリーも屋敷の維持に頭を悩ませていて、屋敷を手放そうか悩んでいることをアンナに打ち明けます。するとアンナは「ダウントンは地域のシンボルなんです」みたいなことを言って反対しました。この二人、お嬢様とメイドの関係ではあるんですけどすっかりお友達のように仲がよく信頼もしあっていて素敵です。病気で死期が近いことを告白したバイオレットは、「わたしたちのご先祖様もわたしたちとは違う暮らしをしていた」と言ってメアリーにダウントンの未来を託します。時代によって変化することはあるけれどあなたなら大丈夫と励ましたのです。えーん、バイオレットおばあちゃまがいないダウントンなんて嫌です。でもバイオレットの台詞は本当にその通りで、わたしたちは時代の変化に適応して生きていかなければなりません。貴族がその暮らしぶりを変えるのはどんな気持ちなんでしょうね。実際どうやって変わっていったのかも知りたいところです。メアリーたちにはずっとあの華やかな暮らしを続けてほしいな~なんて思っちゃいますけどね。メアリーが何とか頑張らないと、使用人たちも仕事がなくなって転職活動しなくちゃいけませんしね。映画の最後は、貴族のクローリー家の人間ではなくカーソンとヒューズさんで締めくくられたのも感慨深いですね。「この先もダウントン・アビーはここにあるし、御一家もここに住んでいる」というようなことを言って、普段は裏口を使うふたりが今日だけ特別に正面玄関を使って家路につくのでしたが、この最後の演出や台詞で貴族の時代が終わることを感じました。カーソンの言う通りお屋敷はずっとあるだろうし、クローリー家もそこにいるかもしれないけどね。存続できるのは本当にごくごく一部しかいないでしょう。
キャスト小ネタ
バイオレット役のマギー・スミスさんに加え、映画版ではもうひとりハリポタシリーズに出演されていた女優さんがいらっしゃいます。女王の侍女モード役を演じたイメルダ・スタウトンさんです。このお二人がスクリーンで一緒に映ると「ハリポタじゃん!」って突っ込まずにいられませんでしたね。そしてイメルダさんは、執事のカーソン役を演じたジム・カーターさんとご結婚されてるんですね。役の上では立場が違うので直接の共演シーンはなかったようですが、一緒の撮影現場を楽しまれたようです。
出典:王妃の侍女を演じた名女優、実生活では“カーソン夫人”。【映画『ダウントン・アビー』にまつわる秘話】 – VOGUE
最後に
ダウントニアンにはたまらない2時間だったのではないでしょうか。オープニングのあのテーマ曲からね、「おかえりー!」って感動しちゃいました。映画を締めくくったカーソンの台詞から、続編があっても全然良いと思うんですけどね!続き、ドラマでしっかり描いてくれていいのよ?でももしあったとしても、バイオレットおばあちゃまはもう出ないでしょうか…それは寂しいですね。また最初からドラマを見直したくなりました。
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