映画『呪詛』ネタバレ感想:ゾクゾクが止まらない!上級者向け台湾ホラー
映画『呪詛』を視聴しました。この映画は台湾で高い興行成績を上げ、最も怖い映画と評された作品です。その評価通り、めっちゃ怖かったです。久しぶりにホラー映画で本当にゾクゾクとした恐怖を味わいました。私はずっと、こういうホラーが見たかった。こういうホラーを求めてた!…んですが、ぶっちゃけもう見たくないかも(笑)。めちゃくちゃ気持ち悪いからです。結構視聴ハードルが高いホラーで、特に、虫が苦手な方、蓮コラのようなブツブツした集合体が苦手な方は閲覧注意な映画です。私は虫が絶対NGだしブツブツもヒィッとなるので途中でギブアップしようか考えましたが、自分がホラー映画に求めている恐怖を味わえる貴重な作品だと思ったので、頑張って最後まで見ました。頑張るとこじゃないとは思うのですけども。
映画情報サイト「シネマヒッツ」にインタビュー記事が掲載されました!是非、こちらの記事も参考にして下さい。
あらすじ
「みなさんは”祈り”を信じていますか?」カメラの前でリー・ルオナンが問いかける。6年前、恋人アードンとそのいとこのアーユエンと共に心霊チャンネルを運営していたルオナンは、あるカルト宗教を信仰する村を訪れた。そこで、足を踏み入れてはならないとされる地下道へと入ってしまい、そこから数々の不幸が巻き起こった。娘にも呪いが及んでしまったことから、ルオナンは娘の呪いを解くために力を貸してほしいと視聴者に語り掛ける。
作品情報&予告動画
原題 | 咒 |
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監督 | ケビン・コー |
脚本 | ケビン・コー チャン・ジャウェイ |
出演者 | ツァイ・ガンユエン ホアン・シンティン ガオ・インシュアン ショーン・リン 阿Q |
登場人物&キャスト
リー・ルオナン
6年前に、足を踏み入れては行けないと言われる地下道がある村を訪れた女性。呪いをかけられた娘のために、とある行動を起こします。演じているのはツァイ・ガンユエン。
ドゥオドゥオ
ルオナンの6歳の娘。本当の名前はチェン・ラートン。ずっと施設に預けられていましたが、ルオナンと一緒に暮らし始めます。演じているのはホアン・シンティン。
シエ・チーミン
ルオナンの娘ドゥオドゥオの里親。演じているのはガオ・インシュアン。
アードン
ルオナンの恋人で、禁足地に踏み入った男性。ドゥオドゥオの父親です。演じているのはショーン・リン。
アーユエン
アードンのいとこで、共に禁足地に踏み入った男性。演じているのは阿Q。
ネタバレ感想
見直す勇気がでないので、うろ覚えの記憶のまま書きます。間違ってたら申し訳ありません!ブツブツはまあまだ直視耐えれるんですが、どうしても虫が…。うねうね系から脚いっぱい系まで多様性に富んでるのでちょっと無理ですね。おえぇ…。
全盛期のJホラーファンはきっと好きになるアジアンホラー
この作品を見た時に感じたのは、『リング』『呪怨』『仄暗い水の底から』のような、じっとりした恐怖を味わえるホラーだなということです。なんだか気味が悪くて、いや~な悪寒を感じたり、ぞわっと鳥肌が立つような怖さ。この先見続けるのが不安になる感覚。スプラッター系とかゾンビ系ホラーでは味わえない、かつてJホラーが得意としていた種類の恐怖がここにありました。もちろん、びくっと驚かしてくる場面もあるし、思わず叫び出したくなるようなグロテスクさもあるし、とにかく最初から最後まで怖かったです。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のようなモキュメンタリーの主観映像も上手く恐怖を演出していると思いました。
私は全盛期のJホラーが好きだったのでこれまでも時々Jホラーを見てきましたけど、かつてのあの輝きはどこへやら、最近のJホラーにはもうまるで期待できなくなってしまっていました。そんな中で、あの頃Jホラーが持っていた魅力をアジアンホラーが忘れずに繋げてくれていたんだと思うと嬉しかったですね。
私が清水崇監督の「恐怖の村」シリーズで見たかったのはこういう作品でした。結局『牛首村』はまだ見てすらないよ。これからはアジアンホラーに期待します!
仏教系のカルト宗教の呪い
この作品は結構時系列があっちこっちに飛ぶので、そこだけちょっとわかりにくさを感じましたが、ストーリー自体はそんなに複雑ではないと思います。簡単に述べてしまうと、妊娠中の母親が雲南系密教を信仰するカルト集団の村を訪れた際に呪いを受け、その時お腹にいた娘も呪われてしまったため、母親が動画の視聴者を騙す形で呪いを拡散し、娘にふりかかる呪いを軽減させたというお話です。
呪いを不特定多数に拡散するというのはJホラーもよく題材にするネタですから、動画を録るルオナンの嘘を割と早い段階で察した人も多いんじゃないでしょうか。はっきりわからずとも、この人はこの動画を見ている人に災いを撒き散らそうとしてるんじゃないかなぁ、みたいなのはうっすら感じました。
カルトの村が信仰していたのが仏母という神で、「ホーホッシオンイーシーセンウーマ」という祈りの言葉や不思議な手の所作、怪しげなシンボルなどが出てきました。どこかに存在しそうに思えるリアリティと絶妙な不気味さがあり、この祈りの言葉や手の所作は真似したくないなぁという気持ちにさせられました。
Netflix『呪詛』より
最後の方、ルオナンが真実を告げる時、画面いっぱいに上記の怪しげなシンボルが映し出され、しばらくそれを見せられた後画面が真っ白になる演出がありましたよね。その時、それまで見せられていたシンボルが白い画面に残像として浮かび上がって見えるわけですが、それも面白いけどやらしい演出だなぁと思いました。巧く視覚反応を利用してますね。本来そこに映ってないものが見えてしまってるので、単なる残像だとわかっていても、自分も呪いを受けたかのような嫌な感じがしてしまうのです。
そして最後に明らかになる、仏母の隠された顔。呪いが集まる中心ということで布で隠されていたわけですが、一体どんな顔なのかと色々想像していました。めくってみれば何のことはない単なる仏像っぽい顔かもしれないし、ルオナンそっくりの顔かもしれない。なんて思ってたら、想像を遥かに上回るグロテスクなものがあって息が止まりそうになりました。布めくって肩透かし食らわずに済んだのは良いですが、あの衝撃はやばすぎ。
宗教をベースにしたホラーって、それだけでただならぬ怖さと怪しさがあるし、好きですね。見たことあるのはキリスト教系のカルトホラーが多い気がしますが、日本だと仏教系の方が身近に感じる方が多そうですし、髪や歯に心霊的な気味悪さを感じるのはアジア共通なんですかね。西欧もそうかな?
ちなみにこの映画、2005年に台湾の高雄市で起きた実際の事件から着想を得たそうです。一家6人がそれぞれ別の神に憑依されたと主張して、数々の信じがたい行為の末に長女が死亡した事件です。糞尿を食べさせたとか、映画よりもハードな内容で驚きますね。
最後に
あの体中に経文を書かれた生贄っぽい感じの女の子はなんだったのかとか、謎のままの部分もあります。最後、ドゥオドゥオが元気そうでしたから、ルオナンの企み通り大勢が呪われてドゥオドゥオに降りかかる呪いが軽減されたということでしょうかね。