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『ナルコス』シーズン2全10話ネタバレ感想:悪党の栄枯盛衰に感情が揺さぶられる

『ナルコス』シーズン2全10話

Netflixドラマ『ナルコス』シーズン2を全話視聴しました。シーズン2も面白かったです。エスコバルとの戦いはこれで完結ですね。エスコバルは大悪党だってわかってるのに一番感情移入しちゃって、最後の方は「情緒不安定か?」と自分に突っ込みたくなるほど泣いちゃいました…。

エスコバルを描いたドラマや映画は他にもたくさんあるようなので、他のも見てみたくなりました。コロンビアが制作した『パブロ・エスコバル 悪魔に守られた男』という人気ドラマがNetflixにあるのですが、74話もあるのでちょっと手が出しにくいですね…。ナルコス見終わってから考えよう。

あらすじ

何千もの兵士と特殊部隊がラ・カテドラルへ突入して戦闘状態になったものの、パブロ・エスコバルは包囲した軍の前を堂々と歩いて脱走した。家族の元へ戻ったエスコバルは特捜隊から隠れるため、住居を転々としながら潜伏生活を送ることになる。エスコバル脱獄の失態を喫した大統領は、エスコバル逮捕に結びつく情報の提供者に報奨金を出すことを国民に伝え、二度と彼との交渉には応じないことを宣言した。

予告動画

新たな登場人物&キャスト

シーズン2から新たに登場した人物の一部を紹介します。

ヒルベルト・ロドリゲス


メデジン・カルテルのライバル組織であるカリ・カルテルの指導者。表向きは銀行や薬局チェーンの経営者です。テロを起こしたりと何かと武闘派路線だったメデジン・カルテルに対して、派手な活動はせず表に出ないようにしています。また、メデジン・カルテルが主にマイアミを縄張りにしているのに対し、カリ・カルテルはニューヨークを縄張りにしていました。麻薬戦争を機に、エスコバルの抹殺とマイアミ横取りを目論み、「ロス・ペペス」という自警団を結成してエスコバルを追い詰めます。演じているのはダミアン・アルカザール。

ミゲル・ロドリゲス


ヒルベルトの弟でカリ・カルテルのナンバー2。演じているのはフランシスコ・デニス。

カスターニョ兄弟

コロンビアの極右の準軍事組織「自警軍連合」のリーダー。弟がカルロスで兄がフィデル。エスコバルが左翼ゲリラM-19と手を組んだことを良く思っていません。元々は森でゲリラ狩りをしていましたが、CIAのビルに上手く乗せられてジュディ・モンカダ、カリ・カルテルと手を組み、「ロス・ペペス」を統率することになります。弟カルロスを演じているのはマウリシオ・メヒア、兄フィデルを演じているのは グスタボ・アンガリータ・ジュニア。

ラ・キカ

エスコバルが信頼する凄腕のシカリオ(殺し屋)。シーズン1からいましたが、シーズン2で存在感が大きくなりました。シーズン1の1話で、まだマイアミにいたマーフィが”ゴキブリ”の密輸人と接触した時に現れ、密輸人とマーフィの同僚を殺害したシカリオです。演じているのはディエゴ・カターニョ。

リモン


ラ・キカの友人。娼婦を乗せるタクシー運転手をしていましたが、キカに誘われてエスコバルの運転手になります。演じているのはレイナール・ゴメス。

ウーゴ・マルティネス

コロンビア軍大佐。カリージョの後任として、特捜隊の指揮官に任命されます。息子も特捜隊に志願しています。どうやらカリージョはドラマオリジナルのキャラのようですが、マルティネスは実在の人物です。演じているのはフアン・パブロ・シュク。

ネタバレ感想

メデジン市民にとっては英雄だった

シーズン1の感想で、市民にも犠牲が出るテロ行為を始めるまでは市民はエスコバルを支持していた、的なことを書いたと思うのですが、認識が違いました!テロ行為後でも、メデジンにはエスコバル支持者がたくさんいたのです。

メデジンにはエスコバルが建てた住宅や施設がたくさんありますし、貧困層への財政支援をした地域ですから、彼の王国だったわけですね。そして、市民の中には彼を英雄として崇拝している人がまだたくさんいたのです。

ラ・カテドラル脱獄後にメデジンへ戻ったエスコバルを特捜隊が追うのですが、町にはエスコバルが放った多数の監視係がおり、特捜隊の動きが逐一報告されてしまって捕まえることができません。監視係の多くは少年で、中には幼い子供もいました。小中学生くらいの少年たちがエスコバルのために特捜隊と対立してるんですから、いたたまれないです。

現在のメデジンでもエスコバル信者はいるようですし、世紀の大悪党も一部の人にとっては英雄であるということがよくわかりますね。

エスコバル逮捕・殺害に執念をかけた2人が退場

シーズン1でエスコバルを収監した後にスペインに飛ばされたオラシオ・カリージョですが、呼び戻されて特捜隊の指揮に復帰しました!グスタボを殺害した男です。シーズン1の頃からわりと過激でしたが、シーズン2で更にエスカレートし、応援していた私も流石に「やりすぎでは!?」と思わずにいられませんでした。

カリージョは監視係だった少年達を捕らえると、見せしめに一人殺害したのです。もうやり口がカルテルと変わらないですよね。しかも、相手はただの監視係の少年です。市民や警察に被害が及ぶような犯罪行為を犯していたならまだしも…。その場にいたペーニャもドン引きしていました。

また、捕らえたエスコバルの部下をヘリに乗せ、口を割らないと見るやヘリから突き落とすという無慈悲な仕打ちをし、過激な手法に順応を見せていたマーフィでさえも動揺していました。悪には悪をとなる気持ちはよくわかりますが、一応は正義を自負していたであろうDEA捜査官にとっては、信念や矜持を見失いそうになるでしょうね。

一方、殺し屋ラ・キカの友人リモンがエスコバルの新たな運転手になりました。リモンには前科がなく、麻薬ビジネスとも無関係だったのですが、運転手を引き受けたことでどんどん戦争に巻き込まれていきます。リモンは人を殺すことを躊躇い、エスコバルと関わることに恐怖を感じているような口ぶりで、組織から抜けたいと言う彼の言葉を私は完全に信じていました。

リモンの幼馴染のマリッツァは、リモンの頼みで少しだけ彼の手助けをしたのですが、それが仇となって口封じのためにラ・キカから命を狙われてしまいます。マリッツァを守るため、リモンはエスコバルの位置情報をマリッツァに渡し、彼女がペーニャにそれを渡して保護を求めるという作戦を立てました。エスコバルをDEAに売るということです。ペーニャはマリッツァを信じ、特捜隊は言われた通りの場所に出向くわけですが、それはでした。待ち構えていたエスコバル達によって特捜隊は襲撃され、カリージョはエスコバルに止めをさされて死亡してしまいました。

エスコバルとカリージョは互いに宿敵とも言える関係でしたから見ててとても面白かったですし、カリージョにはエスコバルの最期を見届けて欲しい気持ちがありましたが、カリージョの方が引導を渡されてしまいましたね。やり方には問題がありましたけど、カリージョの死は残念でした。自分の信じた情報で犠牲が出てしまい、ペーニャは罪悪感半端なさそうです。

わたしもリモンにはまんまと騙されましたよ!!足を洗いたいというのは噓でした!ペーニャはマリッツァが美人だから簡単に信じちゃったのかと思いきや、マリッツァも罠であることは知らなかったんですね。リモンに利用されたのです。まさかリモンがそこまでエスコバルに忠誠を尽くすとは思いませんでした。マリッツァは口封じを免れましたが、結局最後はリモンに殺されてしまいますし、まじで可哀想です…。利用されただけで何にも悪いことしてないのに。

もう一人、エスコバル逮捕・殺害に心血を注いだ人物がいました。サンドバル副大臣です。ラ・カテドラルに乗り込んで人質にされてしまいましたが無事救出され、その後も大統領の支えとなりました。結局、ラ・カテドラルでのことは大統領の裏切りがあったのかどうかはっきりしませんでしたが、私的にはあったんだろうなと思っています。裏切りというか計算というか。もちろん、大統領側としては苦肉の策ですけど。

サンドバル副大臣は殺されずにはすみましたが、ラ・カテドラルの件やカリージョの件の責任を取る形で辞任することになります。大統領を守るために全ての責任を自ら引き受けて物語から退場していったのです。最後まで見届けてくれないのは寂しかったけど、めちゃくちゃカッコよかった…。ラ・カテドラルに単身乗り込んだのは正直軽率どころの騒ぎじゃないと思いましたが、折れることなく一貫して大統領を支え続けた信念の強さが本当にカッコよかった。

崩壊する王国

宿敵カリージョを退場させることには成功しましたが、エスコバルの敵は増え続けていました。エスコバルに敵対しているカリ・カルテル、ジュディ・モンカダ、カスターニョ兄弟が手を組み、武装した自警団「ロス・ペペス」を結成しました。

そして、カリージョ亡き後、組織の動きが鈍くなったことに苛立ったペーニャは、独断でロス・ペペスに情報を流したのです。ペーニャからの情報を基にロス・ペペスはメデジン・カルテルのメンバーや工場を襲撃し、資金を奪い、エスコバルを追い詰めて行きました。

ロス・ペペスのやり方は非常に残忍で、遺体を見せしめにし、犯行声明を残しました。大統領もロス・ペペスのことは把握していましたが、対エスコバルに投入している武力を他に割くことを厭い、敵が共通であることから黙認のような形を取らざるを得ませんでした。コロンビアって、麻薬カルテル以外にも左翼やら右翼やら過激な組織がありすぎて恐ろしいですね…。

さすがのエスコバルも部下や資金を削られて勢いを失していきます。側近たちもじわじわと殺されていき、逃げ移る先の家が少しずつこぢんまりしていき、王国の崩壊を感じましたね。それにしてもどんだけ家があるのよって思いましたけど…。

いよいよ家族の身にも危険が迫り始め、エスコバルは家族だけを亡命させようとしますが、DEAや政府の圧力により叶いませんでした。人権派らしき検事総長の計らいで家族は保護拘置を受けることはできましたが、エスコバルとは離れ離れになってしまいました。

やっぱり、物語の中でエスコバルに一番焦点が当たってるので、無関係の市民や幼い子供達までも犠牲にした残虐非道な人間だとわかっていても、どうしても彼に感情移入しちゃいました。嫁姑の対立もいいスパイスで。勝手な行動した結果最悪の事態を引き起こしたのに過ちを認められない母は、まさにエスコバルの母って感じでしたね。

最愛の家族とバラバラになり、あれだけ周りを取り囲んでいた部下たちがいなくなり、麻薬王にまで上り詰めたエスコバルの凋落は哀れで、どこか彼に肩入れしてしまっている自分も少し悔しさを感じてしまいました。

孤独な逃亡生活、そして死

カリ・カルテル側に寝返る者も続出し、マイアミも奪われたエスコバル。激怒したエスコバルは報復のため、カリ・カルテルが会合を開くモンテカジノに襲撃を仕掛ける作戦を立てますが、遂にラ・キカまでもが仲間を殺害して裏切り、金を奪って逃走します。しかし、即座にペーニャ達に捕まり、エスコバルの情報を渡してしまいました。

ここまでついてきたキカも裏切っちゃうんですね…。自分が巻き込んだリモンも見捨てて!!弱体化した組織に最後まで忠誠を誓って勝てる見込みの少ない戦いに命を投じるような真似はしない男でした。サンドバル副大臣とは対照的です。まあ、密売人なんて損得勘定や自己保身で動くのが基本なんでしょうから、裏切ることも含めて最後までいい仕事をしたキャラでしたね。電話でペーニャが「キカキカ」連呼してるのも可愛かった。

キカが自分を売ったことを悟ったエスコバルは襲撃には向かわず、メデジンを離れてしばらくリモンと2人でエスコバルの父親の元に身を寄せました。しかし、父の本心を知ったエスコバルは、結局リモンと2人でメデジンに戻り、身を隠しながら生活します。一方、特捜隊はエスコバルと家族との無線の傍受に成功し、いよいよ彼の居場所を突き止めました。

最後までエスコバルの傍を離れなかったのがまさかリモンとは…。「忠実な男を探せ」と言われてキカが推薦した人物ですけど、筋金入りに忠実だったわけですね。自分を引き入れたキカでさえ裏切ってる状況なのに。エスコバル目線で見るととんでもなく有難い奴ですし、ただの運転手だった人間がとんでもない忠誠心を見せたのは面白かったですが、いかんせんマリッツァが可哀想すぎて!なぜマリッツァを殺したのーー。まさか娘ちゃんも…?

妻子と無線で会話をしていた時に特捜隊に突入され、銃撃戦の末にリモンも斃れてしまいます。屋根の上に逃れたエスコバルも包囲していた特捜隊員に射撃されて倒れ、最期はトゥルヒージョに頭部を撃たれて絶命しました。

マルティネス大佐は極力生け捕りするよう言っていましたが、トゥルヒージョは生け捕りする気など皆無だったでしょうね。突入されて死亡、その後の家族の描写、という一連の流れでめっちゃ泣いちゃいました。自分でもよくわからない感情です。死に様がほんと…大きなお腹がみっともなくべろんと出ちゃって、裸足で、栄華を極めた男の末路としてはとても惨めでしたね。

実際の射殺後の写真や映像が残ってて、何とも言えない気持ちになりました。特捜隊がエスコバルを仕留めたことを祝う気持ちはわかりますが、死体と笑顔で記念撮影した写真はちょっと怖かったです。

エスコバルの死体写真を見ていたら、ビンラディン殺害後の写真や映像もあるんだろうなと、ふと気になりました。日本のメディアでは見かけなかったように思いますが、ネットにあったりするんでしょうか。ちょっと検索する勇気がありませんけど。麻原彰晃…は生きて捕まって死刑になったか。法の裁きを受けて死ぬのと、現場で殺害されるのと、どちらがいいんでしょうね。私は、法の下で裁かれるべきだと思っていますけど、エスコバルやビンラディン級相手だとよくわからなくなります。

エスコバルに苦しめられた人達にとっては彼の家族も到底許せないと思うのですが、それでもエスコバル家の家族愛の強さは胸にくるものがありました。エスコバル母のあのインタビュー映像とか、被害者からすると「ふざけんな」ってなる内容だと思います。息子の悪事には一切言及なしですからね。エスコバルの息子フアン・パブロ・エスコバルさんは名前を変えて違う国で暮らしているそうです。検索するとインタビュー記事等が出てきまして、中々興味深いです。

闇の組織と手を組んだペーニャと暗躍するCIA

どんどん言動が過激になり、心が荒んでいってるように見えたマーフィが心配でしたが、彼の問題はどうにかなったみたいで、逆にペーニャの方がロス・ペペスと手を組んだりと、不安な動きを見せましたね。巨悪を討つためとはいえ、DEAがカルテルと裏で繋がったとなると批判は免れないでしょう。でも、ペーニャがロス・ペペスに情報を流したのはどうやらCIAの思惑のようです。

カスターニョ兄弟を巻き込んだのも、ドン・ベルナとペーニャを引き合わせたのもCIAが手を回してたってことですよね?仲間にも手の内を見せないし、私にはCIAはよくわからないです。おじちゃん、全然CIAぽくないし。シーズン1でマーフィの情報をパチョに流したのは何だったんだっけ。とにかく、カリ・カルテルとドン・ベルナとカスターニョ兄弟とDEAを繋ぎ合わせたのはCIAってことなんですよね?

エスコバル殺害は特捜隊が達成した風にはなってますが、現場にはカスターニョ兄弟の姿もありましたね。それに、エスコバルが屋根上に逃げた時に狙撃を成功させたスナイパー、サルミエント軍曹って呼ばれてましたけど、彼はドン・ベルナと繋がってるみたいです。ドン・ベルナが軍曹に話し掛けようとしているシーンがありました。最後まで特捜隊の情報がロス・ペペスに流れていたこと、ロス・ペペスもエスコバル殺害に関わっていたことが匂わされてますね。

マーフィはエスコバルの最期に立ち会えたけど、ペーニャはアメリカに戻されてたんですね。ずっと追ってたのに、無念でした。

最後に

エスコバルが死に、シーズン3はカリ・カルテルとの戦いになるんでしょうね。エスコバルに感情移入してたので、カリ・カルテルにはズタボロになって欲しい!

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