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『ナルコス メキシコ編』シーズン1全10話ネタバレ感想:ゴッドファーザーとDEA捜査官の物語

『ナルコス メキシコ編』シーズン1全10話

Netflixドラマ『ナルコス メキシコ編』シーズン1を全話視聴しました。コロンビア編のシーズン1でもちょっと触れられていましたが、DEAのキキ・カマレナ捜査官がメキシコでカルテルに拉致殺害された事件についての物語です。コロンビアでメデジン・カルテルやカリ・カルテルが隆盛している頃と時期的にはかぶっていたんですね。勝手にもうちょっと前のことなのかと思ってました。コロンビア編を視聴済みですからキキ・カマレナ捜査官の結末は知っていましたが、思っていた流れとはだいぶ違いました。

麻薬戦争といえばメキシコって印象がありますし、今でもメキシコはカルテルの抗争とかありますよね。『ナルコス』の撮影スタッフがメキシコで射殺される事件がありましたし(カルテルと関係あるかは知りませんが)、昨日も選挙を控えたメキシコで政治家や候補者が少なくとも88人以上も殺害されてるなんて衝撃ニュースを見ました。2021年ですよ。近年でもヤバイ事件が普通に起こっています。

コロンビア編の感想記事でも少し書いたのですが、メキシコのリゾート地に旅行したことがあるんですけど、その時にシウダー・フアレスというアメリカとの国境に近い地域を送迎バスで通ったんですよ。当時のシウダー・フアレスは殺人率が高くて「紛争地域を除くと世界で最も危険な都市」なんて言われていました。まあ昼間にバスで通過しただけなので何もありませんでしたが、それでも緊張していたのを覚えてます。車窓から街並みを見ていましたが、頭の中には「めっちゃ危険」っていう情報しかないので、普通の街なのにすごくアンダーグラウンドな場所に見えました。綺麗な広場みたいなところがあって、普通に人々が行きかってましたけどね。今は治安がだいぶ回復しつつあるみたいです。でもやっぱり、アメリカとの国境にあたる地域は危険なところが多いようです。ティフアナも相当ヤバそう。こういうメキシコのヤバイ治安って、麻薬絡みから端を発してるんでしょうかねぇ…。貧困問題もあるでしょうけど。

あらすじ

1980年代初めのメキシコ。それまで独立していたプラサと呼ばれる複数の麻薬組織が統合され、腐敗したメキシコ政府当局も取り込んで、メキシコで初めてのカルテルが結成された。統合を実現したのはシナロア州出身の元メキシコ警察官であるミゲル・アンヘル・フェリクス・ガジャルド。メキシコ出身のDEA捜査官エンリケ・”キキ”・カマレナはカリフォルニアからグアダラハラへ赴任となり、現地の腐敗っぷりとグアダラハラ・カルテルの巨大さを目の当たりにする。

予告動画

登場人物&キャスト

エンリケ・”キキ”・カマレナ

メキシコ出身のDEA捜査官。正義感が強く、やる気に満ち溢れ、情熱のある人です。彼の行動力に、「これがメキシコだ」と言って諦めかけていた同僚達も次第に影響されていきました。演じているのはマイケル・ペーニャ。

ミゲル・アンヘル・フェリクス・ガジャルド

元メキシコ警察官でメキシコ初のカルテルを結成した男。エル・パドリーノ(ゴッド・ファーザーの意味)の異名を持つ麻薬王です。シナロアという田舎で麻薬ビジネスをしていましたが、都会であるグアダラハラへ場所を移して複数の組織を統合し、巨大カルテルを生み出しました。人よりも金が大事な男です。演じているのはディエゴ・ルナ。

ドン・ネト

フェリクスのパートナーでグアダラハラ・カルテルの幹部。本名はエルネスト・フォンセカ・カリージョ。顔面の圧がすごい、ユーモラスなおじさんです。西田敏行に見えて仕方ありませんでした。演じているのはホアキン・コシオ。

ラファエル・カロ・キンテロ

フェリクスのパートナーでグアダラハラ・カルテルの幹部。ラファと呼ばれています。大麻栽培に心血を注いでいて、ラファの大麻のおかげでフェリクスは名を上げることができました。大麻栽培の腕は確かですが、衝動的で浅はかな男です。演じているのはテノッチ・ウエルタ。

アマド・カリージョ・フエンテス

ドン・ネトの甥でグアダラハラ・カルテルの幹部。飛行機の操縦が可能で、後のフアレス・カルテルのリーダーです。コロンビア編のシーズン3でも登場しましたね。フアレスでパチョを勧誘していた男です。演じているのはホセ・マリア・ヤスピク。

ホアキン・グスマン

通称エル・チャポ。フェリクスのボスだったペドロの運転手でしたが、フェリクスがボスを殺害したのでフェリクスの元で働くことになりました。演じているのはアレハンドロ・エッダ。

ネタバレ感想

メキシコ初のカルテルを結成した麻薬王

メキシコ編での悪の親玉は、メキシコの麻薬カルテルの始祖であるミゲル・アンヘル・フェリクス・ガジャルドです。名前がすごいカッコ良い。フルネームで呼びたすぎる。エル・パドリーノっていう異名もカッコ良いです。中二心を擽られるというか。フェリクスさんは、エスコバルともロドリゲス兄弟ともまたちょっと違った雰囲気のボスですね。もちろん容赦なく人を殺すので恐ろしい人なのですが、なんかイマイチ迫力がないというか威厳がないというか。痩せっぽちなんて呼ばれている通り、ひょろっとしていて見た感じそんなに怖くないのです。カルテルのボスっぽくないな~なんて思っていたら、実際のフェリクスの写真はもっとずっと普通の人っぽかった…!そこらへんにいるおっちゃんみたいな。たまたまそういう写真だったのかもしれませんけど。

元々はメキシコ連邦警察の警察官だったのですが、シナロアという地で麻薬ビジネスに手を出します。メキシコにはそれまでカルテルは存在せず、プラサと呼ばれるいくつもの小さな麻薬組織が活動していたのですが、フェリクスは有力なプラサを統合してグアダラハラ・カルテルを結成し、メキシコ初のカルテルのリーダーとして成り上がって行きました。

先見の明みたいなものは持ってるんでしょうね。切れ者で冷静な男だと思いました。人を出し抜くのも上手いですし、どこを・誰を押さえとくべきかとかもよく把握していました。不幸だったのは、あまり周囲の人間に恵まれませんでしたね。取り分増やせ増やせ!って、がめつい人が多かった。弟分みたいに可愛がっていたラファは大麻愛が強すぎましたし、惚れた女を狂言誘拐したりいきなり観光客殺したり、軽率な行動が多すぎて面倒みきれない感じがありました。ラファの大麻のおかげで成り上がれたけれど、ラファのせいで滅茶苦茶にもなったみたいな。フェリクスとラファはなんであんなに仲良しだったんでしたっけ。

エスコバルは家族や近しい人にはすごく情が深い人でした。ロドリゲス兄弟は、途中弟が兄に逆らい始めましたが、なんだかんだ絆がありましたし、四天王間の結びつきは強かったですよね。対して、フェリクスはガチで人より金という人間性だったように見えました。ラファのことはかなり粘って面倒見ていましたが、最後は自分を守るために売りましたし、ドン・ネトのことも売ったんですよね?妻子ともあっさりお別れしましたし。見た目に反して、中身が一番冷徹だったのはフェリクスなんですかね。お金を手に入れて成り上がって行くにつれて、どんどんそういう人間性が顕著になっていったように感じました。周りに金を無心してくる人間が多かったことも関係してそうです。

ラファは鬱陶しくてあんまり好きになれなかったんですが、ドン・ネトは好きでした。いいキャラしてますね、あのおっさん。シーズン1で一番いい味出してたんじゃないですかね。有能かどうかはあんまりよくわかんなかったですけど、最後フェリクスに裏切られることは予想していたんでしょうし、包囲されてもバカンスをエンジョイしていた姿は最高でした。

コロンビアンカルテルとの結びつき

大麻で成り上がったフェリクスですが、アメリカと国境を接しているという地の利を生かし、コロンビアのコカイン密輸を仲介する事業も始めました。大麻よりもコカインの方が高く、稼げるんですね。コロンビアのコカインといえば、メデジン・カルテルとカリ・カルテルです。メキシコ編でもコロンビア編の面々がちょこっと出てきましたね。ミゲルやパチョにチェペ、ブラッキーやポイズンにエスコバルまで!コロンビア編を楽しませてくれたメンツにまた会えて嬉しかったです。どっちのカルテルのブツを扱うかで、フェリクスは感情的なエスコバルを避けてカリ・カルテルとの取引を選ぶのですが、エスコバルの方からフェリクスに(強引に)取引を持ち掛けられました。エスコバルの圧の強さというか、攻めの姿勢が再び見れて感慨深いエピソードでした。

コロンビアのコカインを輸送することでグアダラハラ・カルテルは更に飛躍したわけですが、自分の大麻よりコカインに重点を置かれたことでラファはへそを曲げてしまいました。自分自身はめっちゃコカイン愛用してるんですけどね。

あと、コロンビア編で出て来たCIAのおっさんも出てきましたね。ビルでしたっけ。私は未だにあの人の目的がよくわかってないんです(笑)。そして今回出て来た目的もよくわかってない…。DFS(連邦公安局)の人と繋がってたっぽいですよね。彼との一件があってから、フェリクスはコロンビアのコカイン輸送に手を出すことを決めたように見えましたが。

カルテルに拉致された熱血DEA捜査官

フェリクスを追うのが、DEA捜査官のキキ・カマレナです。キキはすごくやる気があって、正義感に溢れた人でしたね。思うように捜査ができないことや、買収された警官や政治家の邪魔が入ることに、同僚や上司は「メキシコだから」と半ば諦めているんですけど、キキはそんな環境でも粘り強く捜査し、失敗しても諦めることなく情報を集め続け、ボスがフェリクスであることを突き止めました。キキの執念が巨大カルテルの実態を暴き、上司や同僚の意識も変えて行ったのです。まさに理想の正義の人でしたよね。

キキの長年の努力が実を結び、グアダラハラ・カルテルの広大な大麻畑はDEAの作戦によって焼かれました。史上最大の押収です。それに激怒したのがラファでした。愛する大麻畑を壊滅させたキキを復讐のために拉致したのです。しかし、DEA捜査官を拉致するように仕向けたのは実はメキシコの国防大臣アンドレスでした。アンドレスはフェリクスと手を組んでいる汚職政治家なわけですが、フェリクスを盗聴していたDEAは政治家の情報も掴んでいるのではないかと睨み、フェリクスに捜査官を拉致して情報を聞き出すことを要求していたのです。アメリカを敵に回して商売に影響が出ることを忌避したいフェリクスはそれを拒みましたが、アンドレスはDFSをラファに接触させ、ラファを利用してキキを拉致したのです。アンドレスは揉め事が起きたらラファに全てを擦り付ける気だったわけですね。それがわかっているフェリクスはキキを解放すると言いますが、情報を聞き出さないと支援を打ち切るとアンドレスから圧力を掛けられてしまいます。結局キキは激しい拷問の末に殺害され、捨てられたのでした。

キキの運命は知っていたわけですが、やはり心が痛みますよね…。でも、もっと惨たらしい拷問描写が出てくるかと思っていたのですが、予想よりだいぶマイルドでした。まあ、そこをねちっこく描写してもグロいだけですけど。コロンビア編シーズン1で、「脚の皮膚を剥がされて頭にドリルで穴を開けられていた」みたいなナレーションをマーフィーが言っていたので、実際はドラマの映像よりももっとずっと凄惨な拷問が行われたのでしょう。所業の一部を文字で見るだけでも震えますよね…。でも、カルテルの殺人や拷問ってこういう残虐非道なやり方っていうイメージがあります。やっぱり、見せしめ的な意味合いがありますしね。あれだけ熱心で正義感に溢れた人が言葉にするのも憚られるような仕打ちを受けたと思うと本当に悲しいし、ご家族や同僚の心情は察するに余りあります。

それにしても、私何を勝手に勘違いしたのか、てっきりキキはカルテルに売人のフリをして潜入していたのがバレて殺害されたのだと思い込んでいました。だから「いつ潜入するんだろう」ってずっと思ってて、でも赴任初日からDFSに顔を見られてるし、街中でフェリクスを思い切り呼び止めていたりと、潜入する前から顔バレしてんじゃんっていう状況にずっと頭にハテナを浮かべていました。そういう意味で、思っていたのは全く違う流れで拉致殺害されてしまいました…。

キキが拉致された当初は直属の上司であるハイメしかまともに動いてくれなくて、DEA支局長のエドにすごいヤキモキさせられました。犠牲が出てから本気出して動いても遅いのよ!!

麻薬王よりも憎たらしい汚職政治家

カルテルに汚職政治家は付き物なんでしょうね~。コロンビアも酷かったけど、メキシコも同じでしたわ。コロンビア編よりも憎たらしさが増し増しになってました。

フェリクスが恩義を感じていたのに裏切ってきたシナロアの知事とか、相当ゲスいですよね。甘い汁は啜っておきながら、都合が悪くなると保身のためにあっさり切り捨てる。全部自分本位。金のことしか頭にない。フェリクスを売った知事にカルデローニが「奴らより腐った人間と握手する気はない」って言った時はスカッとしました!その数分後に幻滅するわけですが!なんだよカルデローニィ…。「父は重役で私は5ヵ国語を話す。20ドルで魂を売ったりしない(キリッ」なんてハイメに言ってたくせに、自分のボスである国防大臣の名前がキキの拷問テープに出てくると知って、200万ドルでフェリクスと取引しちゃいました。拷問テープは全部で7本ありますが、そのうちの2本に大物の汚職政治家達の名前が出てくるので、その2本は隠して、残りの5本をカルデローニが受け取るという取引です。せっかく追い詰めたフェリクスも逃がしちゃいます。ボスを守るためっていうより、自分を守るためですよね!?もー、ほんと幻滅しました。

で、キキの拉致殺害を引き起こした張本人であるアンドレス国防大臣。こういう人間って、何て言うんだろう。吐き気を催す邪悪?自分の手は汚さずに他人を利用し、汚い金と社会的な地位は手にしていく。せめて自分の手で拷問したらどうなのよ。彼以外にも複数の汚職政治家が中枢にいるわけですし、キキが殺害された場所とかは国家ぐるみで隠蔽されてしまっていて、虚偽の説明で幕引きを図ろうしていた腐りっぷりです。

腐りっぷりに流石に本気になったDEAはレジェンダ(Leyenda)作戦を開始し、キキの死に関わった全員に裁きを受けさせるという決意を固めました。そのレジェンダ作戦によって派遣されて来たのが、最終話の最後までずーっと姿を見せないままナレーションを務めていたウォルトという捜査官です。

私、ナレーションの声がマーフィーに聞こえて仕方なかったんですよね。キキ殺害後に来るDEA捜査官の声なんだろうな~とは思っていましたが、ワンチャンマーフィーもあり得るかな?なんて期待していました。そんなわけありませんでしたね。すごくチャラチャラしたおじさんって感じの方ですけど、どんな人なんでしょう~。シーズン2が楽しみです。

最後に

キキの死は始まりに過ぎず、フェリクスと、そして腐敗した政治家との戦いがこれから始まるんですね。メキシコの麻薬戦争は現在も続いていますが、どこまで描かれるんでしょう。最新のところまで網羅して欲しい。