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映画『NOPE/ノープ』ネタバレ感想:空から飛来して人を襲う”何か”

映画『NOPE/ノープ』

映画『NOPE/ノープ』を視聴しました。『ゲット・アウト』や『アス』で知られるジョーダン・ピールが脚本、監督、製作を務めています。ジョーダン・ピール監督の作品て全く展開が予想できなくて面白いのですが、すごく暗喩的だったり示唆的な部分も多くて私には意味がよくわからないことも多いです。今作もまたそんな感じでした。まさかのUFOモノ?と思わせるようなSFホラーですが、ピール監督のこれまでの作品同様に人種差別などの社会問題がテーマにあります。

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本ページの情報は2023年3月時点のものです。現在は配信終了している場合もありますので、最新の配信状況は各動画配信サービスの公式サイトにてご確認ください。

あらすじ

カリフォルニアのアグアドゥルセで、ヘイウッド家は馬の調教などを行う牧場を経営していた。ある日、空から金属物が次々落下してきて、父オーティス・ヘイウッドの目に硬貨が直撃の末死亡してしまう。飛行機からの落下物だとされた。牧場は息子のオーティス・”OJ”・ヘイウッド・ジュニアと、その妹エメラルド・”エム”・ヘイウッドが引き継いだ。

作品情報&予告動画

原題Nope
監督ジョーダン・ピール
脚本ジョーダン・ピール
製作ジョーダン・ピール
イアン・クーパー
音楽マイケル・エイブルズ
撮影ホイテ・ヴァン・ホイテマ
出演者ダニエル・カルーヤ
キキ・パーマー
スティーヴン・ユァン

登場人物&キャスト

オーティス・”OJ”・ヘイウッド・ジュニア

馬の調教師。不慮の事故で亡くなった父から牧場を継ぎましたが、経営は上手くいっていません。演じているのはダニエル・カルーヤ。

エメラルド・”エム”・ヘイウッド

OJの妹。兄と共に牧場を経営しています。陽気でおしゃべり。演じているのはキキ・パーマー。

リッキー・“ジュープ”・パーク

元子役で現在は「ジュピターズ・クレイム」というテーマパークの経営者。OJから馬を買い付けています。演じているのはスティーブン・ユァン。『ウォーキング・デッド』のグレン役でお馴染みですね。

エンジェル・トレス

「フライズ・エレクトロニクス」という電気屋の店員。ヘイウッド兄妹の家に監視カメラを設置しに訪れてから騒動に首を突っ込みます。演じているのはブランドン・ペレア。

アントラーズ・ホルスト

撮影監督。不可能を撮影して世界に注目されることに執着しています。演じているのはマイケル・ウィンコット。

ネタバレ感想

見せ物にされた側の逆襲

映画の冒頭、旧約聖書にあるナホム書3章6節の引用がされます。

わたしはあなたに汚物をかけ、あなたを辱め、あなたを見せ物とする

引用元:ナホム書第3章6節

上空からの落下物で父親を亡くしたヘイウッド家のOJと妹のエムは、調教師として馬の”ラッキー”と共に撮影に参加していました。しかし、OJの忠告に従わないスタッフのせいで馬が興奮してしまいます。その結果OJはまだ力不足だとされてしまい、仕事を下ろされてしまいました。もごもご喋ってるOJの仕事ぶりにはプロらしさがありませんでしたが、調教師の指示に全く従わない撮影スタッフ達は彼や馬に対する敬意が欠如していました。あれでOJが咎められるのは理不尽です。動物を扱うことの危険性を理解していないが故かと思いましたが、黒人であるOJを軽んじているからという背景もあるのかもしれません。馬のこともOJのことも無自覚に見下しているんでしょうね。そして、そんな彼らの行動が、馬に蹴り上げられそうになるという危険な結果を招いたのです。

シットコムに出演していたチンパンジーのゴーディはある日限界を迎え、出演者に襲い掛かるという事故を起こしました。そのシットコムに子役として出演していたジュープは唯一ゴーディに襲われませんでしたが、その後役者として大成することはなく、現在はカリフォルニアでゴールドラッシュにちなんだテーマパークを経営しています。凄惨なゴーディ事件のことも自身の園で展示していた彼は、牧場の経営難で馬を売りに来たOJとエムに対して、ちょっと誇らしげな雰囲気で武勇伝のように事件について語ります。そして、ゴーディから襲われなかった経験が彼を驕らせたのか、ジュープはアグアドゥルセの上空に現れた謎の巨大飛行生物を飼い慣らしてショーの見せ物にしようとしていました。

しかし、到底人が飼い慣らせるものではなかった未知の飛行生物は、ショーを催行していたジュープや観客達を全員上空に巻きあげて食してしまいます。飛行生物に自宅を滅茶苦茶にされたOJは、ヤツの強い縄張り意識と、目を合わせなければ襲ってこないという習性に気付きました。OJはかつて自分たちが飼っていた馬”Gジャン”の名前を飛行生物につけ、Gジャンと協定を結ぶ作戦を立てました。そして、エムと家電量販店のエンジェル、撮影監督のホルストと共にその様子を撮影し、どのメディアよりも先に自分たちがGジャンのスクープ映像を記録することにしたのです。

動物の本能や習性に詳しい調教師のOJだからこそGジャンの習性や弱点に気付いたわけですが、彼は危険な人食い生物であるGジャンと協定を結ぼうとしたのが面白いところだと思います。エムが言っていますが、世界最初の映画はエドワード・マイブリッジが撮った黒人騎手が馬を駆る2秒の映像なのだそうです。しかし、その黒人騎手の名は記録にないのだとか。劇中ではその黒人騎手はOJとエムの先祖であるアリスター・ヘイウッドということになっています。そこは創作だと思いますが、エドワード・マイブリッジが撮った映像というのは実際にあるみたいですね。これはつまり、世界最初に映画に登場したのは黒人だったのに名前の記録もされず存在を消されているという、黒人差別があったことを示しているわけです。そうやって先祖の代から今に至るまで差別を受け軽視されているからこそ、そして、調教師として敬意を持って生き物と接しているからこそ、生物であるGジャンを排除するのではなく「協定を結ぶ」という考え方になったのかなと思いました。無機質で可愛げもなく、あまり生物にすら見えないあの物体と協定を結ぶっていう発想はなかなかできません。

一方で、Gジャンを撮影することには執着しています。最も執着しているのはホルストで、彼のその執念はある意味、バズるために命を危険に晒したり犯罪まがいのことまでしたりする昨今の異常な自己顕示欲や、特ダネやスキャンダルを暴こうと加熱するモラルのないメディアを揶揄しているようにも感じました。電動バイクの記者も同類ですね。そして、OJがここまで大掛かりで命がけの撮影を敢行したのは、被写体だった先祖の名は残らなかったの対して撮影者の名は後世まで残っていることが影響しているのだと思いました。衝撃のスクープ映像を撮れば、消されていた自分達の存在を知らしめ、軽んじて来た連中を見返してやれると思ったのではないかな。

ラッキーも、ゴーディも、Gジャンも、被差別属性である黒人達も、映画冒頭の引用で出て来た”見せ物”にされた者たちです。黒人はミンストレル・ショーなどで”見せ物”にされてきた歴史がありますし、Gジャンはジュープに”見せ物”として飼い慣らされようとしていた生き物です。アジア人であるジュープも被差別者ですけど。この映画はまさに”見せ物”にされた側の逆襲劇を描いているのでしょう。

ただ、明確に”見せ物”として描かれているGジャンが最後に爆散し、エムが「誰もうちらには勝てない」と勝利宣言するのは、逆襲劇としてどうなんだろうと疑問に思う部分もあります。協定を結ぶ話はどこへ…?Gジャンに協定を結ぶ知能があるかは甚だ疑問ですし、エムも捕食しようとしてきた相手を撃退しただけで、飼い慣らそうとしたジュープとは違うことはわかりますが、結局OJもエムも被写体としてGジャンを”見せ物”にする側になるんですよね。自分達が世間を見返すためにGジャンを利用するとも思えなくない。OJやエムが今まで見せ物にしてきた側への逆襲を果たしたようには見えないからスカッと感がない。そして、Gジャンは被写体として”見せ物”にされるのですから、いつか宇宙から彼の仲間でもやってきて、OJ達もしくは子孫達が逆襲されるのではないかと考えてしまいます。

オマージュ

私はオマージュに気づかないことが多いのですが、流石に『AKIRA』の超有名なバイクのスライドブレーキシーンのオマージュには気づきました。リアルに「AKIRAじゃん!」て声が出ましたね。これ気づかなかったらたぶん一生何のオマージュも理解できないぐらいAKIRAでした。監督がファンらしいですね。

もう一つ既視感を覚えたのは、シットコムの惨劇が起きた場面で、ゴーディと幼少期のジュープが拳をこつんてしようとするシーンです。あれは『E.T.』の人差し指を突き合わせるポスターを彷彿とさせました。私たちにとってあの手を突き合わせるようなポーズは、異星人(異種族)との交流や相互理解のような心を通わせるイメージがあるのですよね。こつんする前にゴーディは射殺されてしまいましたが。動物と心を通わせることはそんな簡単じゃない、人間がそこを甘く見た結果で処罰されるのは動物の方だと突きつけられているようで、動物愛護の観点からも考えさせられます。

驚いたのは、Gジャンのデザインは『新世紀エヴァンゲリオン』の使徒のオマージュだってことです。最初はオーソドックスなUFOっぽい形状でしたが、その後独特なデザインに変形しました。言われてみれば、変形後の形態は使徒みがある!視聴中は全く思ってもみませんでしたが。私はクラゲとかイカっぽいと思ったし、UFO型の時もマンタみを感じたので、海洋生物がデザインの元になってるのかと考えていました。

最後に

ホラーですがどこかコメディちっくなところがあって笑えました。特に私にはエンジェルが面白かった。なんか最初から馴れ馴れしいからエムの知り合いかと思ったし、客にいきなり彼女とのこと話し出すの距離感バグってるし、勝手に監視カメラ覗いてるのプライバシー侵害で怖いし、あんな危険生物の撮影に付き合う義理ないのにちゃんと参加してるしで、憎めない面白キャラでした。生き残ってよかった。

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