『ペーパー・ハウス』シーズン1ネタバレ感想:スペインのクライムサスペンスドラマ
Netflixドラマ『ペーパー・ハウス』シーズン1全13話を視聴しました。強盗団を描いたクライムドラマで、現在シーズン4まで配信されています。ハラハラする場面や「そうきたか!」と驚く展開はもちろん多いのですが、結構ドロドロの恋愛模様もありました。元々はスペインのドラマのようです。ナルコスを鑑賞している時から思っていたのですが、めっちゃ「トランキーロ」って言いますね。スペイン語でそれだけは聞き取れるようになりました。
原題は『La casa de papel』、英題は『Money Heist』になります。
あらすじ
強盗犯として指名手配された女は逃亡中にある男に出会う。男は「一緒に強盗をしないか」と誘ってきた。男は自らを『教授』と名乗り、8人の男女を集めていた。チームメンバーは互いに都市名で呼び合うことになり、女は『トーキョー』と名乗ることになる。教授が皆に持ち掛けたのは、王立造幣局から24億ユーロを強奪するという計画だった。
登場人物&キャスト
トーキョー
15件の強盗事件を起こして指名手配犯となった女。美しく妖艶ですが感情的で煽情的。メンバー同士で個人的な関係を持つのは禁止というルールにも関わらず、リオと恋仲になります。リオとかなり年齢差がある設定のようですが(トーキョーが年上)、とてもそうは見えません。字幕が時々「トキオ」になってるのが気になりました。演じているのはウルスラ・コルベロ。
教授
王立造幣局からの強奪計画の首謀者。頭脳明晰で慎重な男ですが、時々とてつもなく大胆。実行犯であるチームメンバーとは離れた場所から指揮しています。演じているのはアルバロ・モルテ。
ベルリン
27件の強盗歴を持つ男でチームのリーダー。冷静で冷酷で威圧的です。教授は離れたところから通信しているため、実際の現場を仕切っているのは彼です。時には教授の指示を無視した命令を下すことも。演じているのはペドロ・アロンソ。
モスクワ
元は鉱山で採掘をしていたが強盗犯に転身した男。工業機械に精通しています。息子を愛しており、メンバーの中で最も人格者でもあります。演じているのはパコ・トウス。
デンバー
モスクワの息子。ドラッグ絡みで喧嘩三昧な腕っぷしが強い男です。笑い方がすごく特徴的で最初はヤバイ奴かと思いましたが、父親と同じく人格者で優しい男でした。演じているのはハイメ・ロレンテ。
リオ
警報や電子機器に精通している男。コンピューターには詳しいけれどそれ以外に関しては無知なようです。まだ若い青年で、恋仲になったトーキョーからは子供扱いされている面も。演じているのはミゲル・エラン。
ヘルシンキ
セルビア人で双子の片割れ。バイキングみたいな風貌ないかつい男ですが意外と愛嬌があります。演じているのはダルコ・ペリック。
オスロ
ヘルシンキと双子。どっちがヘルシンキでどっちがオスロか、13話まで見ても把握できませんでした。演じているのはロベルト・ガルシア・ルイズ。
ナイロビ
偽造の達人で楽観主義者の女。ノリが良く、はっきりとした性格で、物怖じもしません。めちゃくちゃカッコイイ頼れる姐御って感じがしました。演じているのはアルバ・フローレス。
ネタバレ感想
展開が読めなくて面白い
8人の強盗仲間を集めた教授は、彼らに5ヶ月かけて強奪計画を学ばせ、画家のダリのマスクと真っ赤なつなぎを着用させて王立造幣局を襲わせます。強盗メンバーたちは従業員や警備員、見学に訪れてた高校生&教師の計67人を人質にとって立てこもります。教授の強奪計画とは、造幣局に立てこもって時間稼ぎをし、24億ユーロ分の紙幣を刷らせてそれを手に入れるというものでした。誰かのお金を奪うわけではない、そして、犠牲者を出してはならない。そうすることで、大衆からヘイトを買うのを避けるのです。それが、彼の計画だったのです。
当然警察は包囲するわけですが、人質の高校生の中に外交上の重要人物の血縁者がいるのと、人質も強盗団と同じつなぎとマスクを着用させられているため、人質と犯人の見分けがつきません。それ故、無暗に突入することができないのです。
警部補のラケルが教授と電話で交渉を続けますが、常に教授の方が上手なんですよね。警察がどう動くか先読みしていて、最初からそれを考慮して計画を練っている。とてつもない先読み力で慎重に計画を立てているわけです。一方で、自らラケルに接触して深い仲になって警察の情報を得るという、めちゃくちゃ大胆な行動も見せます。私は、教授がまさか自分から警察と接触するとは予想してなくて、びっくりしました。どこまでが教授の計画なのか、教授が何を考えどう行動するか、展開が読めなくて面白かったです。
教授の計画通りにことが運べば無事に強奪できるのでしょうが、中々そうはいきません。まず、強盗メンバーが言うこと聞いてくれませんから(笑)。個人的な関係を持つなって言ってるのにすぐヤッちゃうし、犠牲者を出すなって言ってるのに警察に発砲したり、人質の殺害命令出しちゃうし。まあ、強盗する人間がルールを守れるわけないですね。教授も計画外のことが起きる前提で計画しないといけません。
でも、計画外のことが起きると、教授は滅茶苦茶テンパります。そこが可愛い。どう考えても大胆過ぎる行動に出てヘマします。何の変装もせずに証拠隠滅に出向いたり、「今電話に出なくても良くない?」っていうタイミングでラケルからの電話に出たり、ラケルの相棒アンヘルがアジト訪問に来てあっさり中に入れちゃったりと、不測の事態には沼行動しがちな教授。それでもどうにかこうにか危機を切り抜けていくのも面白かったです。強奪が成功するのかどうか、とっても気になります。
個性的なキャラクターに愛着が湧く
教授と警察の攻防が一番面白いところではありましたが、登場キャラクターが皆個性豊かで、彼らが織り成す昼ドラみたいな恋愛模様も楽しめました。強奪メンバーはクソ野郎揃いかと思いきや、意外と皆優しいし理性的で人間味に溢れているんですよね。
まず私、ナイロビのことがすごく好きになりました。1話のメンバー紹介的なやつを見た時は能天気な阿保キャラの印象を受けたのですが、全然そんなんじゃなかった。トーキョーと羽目を外したりとパーリーピーポーみたいなノリはありますが、デンバーがモニカを匿っていたことをベルリンに内緒にしてくれてたり、いじめられていたアリソンを気遣ったり、何しでかすかわからないベルリンに敢然と立ち向かったり、カッコ良くて芯が強くて仲間思いで優しさもある女性でした。特に、モニカが生きていたことを知ったベルリンがデンバーに銃を向けた時、ナイロビがすぐさまベルリンに銃を向けたシーンがカッコ良すぎた。負傷したオスロを医者に見せると言って、ベルリンと対立した時もカッコ良すぎた。声もカッコ良い。
それとデンバーも好きです。笑い方にクセがありすぎるんですけど、ベルリンに人質のモニカを殺せと命令されて、でも殺せなくて、太腿を撃って殺したように見せかけて密かに匿ってお世話をするという、心優しい青年でした。いやこれはモニカ、デンバーに惚れますよ。デンバーとモニカが惹かれ合っていくの、見ていてすごいキュンってなりました。この2人を応援しています。デンバー、犯罪者なんすけどね。
モニカと不倫していた局長のアルトゥーロは嫌いでしたね!反抗的なのはいいんですけど、他人にリスクを冒させすぎ。自由がない身なので誰かにやってもらわなきゃいけないってのもわかりますけど。それに、自分は妻とモニカどちらも愛していて選べないみたいなことを言いながら、モニカがデンバーと関係持ってるの見て怒るとか、どういうご身分なんでしょう。仲間の人質に脱走を焚きつけておきながら、自分の身に危険が及ぶとあっさり仲間を売っちゃった時には、リアルに「こいつ!」っていう半笑いの声が出ました。まあ、彼が画策したおかげで脱走を図った人質は無事に逃げれたので結果オーライですけど!不倫相手のモニカを妊娠させてる時点でゲスすぎなんですよねぇ。
ラケルのことは心配になります。大丈夫でしょうか、彼女。まず、セクハラ三昧みたいな職場が嫌すぎる。電話越しの教授のセクハラも酷いし。何より教授の掌で踊らされてる感が可哀想で…。ラケルの決断が悉く事態を悪い方へ向かわせるんですよね。それがいたたまれない。相棒アンヘルのことをスパイと疑った挙句、悲嘆したアンヘルが泥酔運転で事故って重体とか、ラケルの精神状態もう滅茶苦茶ですよ。教授はラケルのこと愛してないですよね…?ただ利用してるだけですよね?「愛した女を~」みたいな表現があったので混乱したんですが。ラケルと教授が今後どうなっていくのか、非常に気になります。
アンヘルも可哀想でしたね。ラケルに横恋慕してる様子は正直気持ち悪かったんですけど。ラケルの気を引くためか、「今朝妻と愛し合ったんだ」なんて職場で言い出した時にはゾッとしました。でも、長年の相棒であり愛しているラケルにスパイと疑われたのは可哀想だった。アンヘル、もし回復して目を覚ましたら、教授の正体がバレちゃいますね。アンヘルから正体がバレるのか、それとも教授が息の根を止めに来るのか…。
ベルリンは一番恐ろしい人間ですね。自己愛が強くて共感性がなくて冷酷でサイコパスみたい。でも、非情になり切れない強盗メンバーの中でベルリンが純粋な悪役になっているおかげで、ストーリーに緊張感が出て面白いです。役者さんの演技もすごい惹きつけられます。
強奪メンバーが魅力的で、彼らの絆にぐっとくるものがあるので、応援してしまいますね。
最後に
王立造幣局からの強奪事件だけでシーズン4まで続くんですかね??教授の計画に穴が開いてしまいましたが、ここから立て直せるのでしょうか。肝心な時に教授は不在だったので、メンバーからの信頼がなくなってしまいそうです。
13話の最後、教授とベルリンが歌って抱き合ってのはよくわからなかったです。あの謎の歌は何だろうと思って「チャオベラチャオベラチャオチャオチャオ」で検索したら「さらば恋人よ(イタリア語:Bella ciao)」という曲だと判明しました。自由への賛歌なのだそうで。皆で5ヶ月過ごしたおうちが警察に暴かれてしまいましたが、教授が証拠残したまんまにしときますかねえ?罠?