『ストレンジャー・シングス』シーズン4前半ネタバレ感想:裏側の世界の軍師ヴェクナ登場
Netflixの大人気ドラマ『ストレンジャー・シングス』シーズン4が配信開始されたので視聴しました。シーズン4の配信は前後半に分かれていて、今回は前半(1~7話)までの感想になります。後半(8~9話)は2022年7月1日から配信開始なので、前後半合わせて感想書こうかと思ったのですが、前半を視聴した興奮のまま書きたいため分けます。ちょいちょい忘れている部分があったのでシーズン1から見直していました。これまでに比べて1話毎の視聴時間が長く、後半のエピソードは映画並みになっているそうです。
子役の皆さんはすっかり青年ですね。マイク役のフィンくんなんて輪郭や彫りの深さがとても男らしくなっていらっしゃって…。しかし体は子供時代のままかと思うほど細すぎで、リアルに「細っ!」という声が出ました。ウィル役のノアくんは可愛らしさを保ったまま成長してて、すごく良いです。
予告動画
新たな登場人物&キャスト
シーズン4から新たに登場した人物を紹介します。新キャラ、皆個性的で魅力がありますね。
ピーター・バラード
イレブンがまだホーキンス国立研究所にいた時に、研究所で働いていた職員。他の子にいじめられていたイレブンを気にかけてくれています。演じているのはジェイミー・キャンベル・バウアー。ちなみに、ピーター・バラードという名前は公式アカウントがジェイミーの役柄を紹介した時にカムフラージュで使った名前です。
エディ・マンソン
マイク、ダスティン、ルーカスが所属するホーキンス高等学校ヘルファイア・クラブのリーダー。ぶっ飛んだキャラをしていて、周りからは変人扱いされています。チアリーダーのクリッシーが変死した現場から逃走したため、容疑者となってしまいます。演じているのはジョセフ・クイン。『ゲーム・オブ・スローンズ』のシーズン7に出演しているそうです!
アーガイル
ジョナサンの友人。真っ黒で真っ直ぐなロングヘアが特徴的。エディ同様、濃くて面白いキャラです。演じているのはエドゥアルド・フランコ。
エンゾ
ホッパーが収容されているカムチャツカにある刑務所の看守。「エンゾ」というのは、シーズン3でホッパーとジョイスがデートする約束をしたレストランの名前です。演じているのは『ゲーム・オブ・スローンズ』でジャクェン・フ=ガーを演じたトム・ヴラシア。どこかで見たことあるイケメンだと思ってましたが、ジャクェンだとは気づきませんでした!!ロシア語話せるんだ~と思って調べたら、多言語話せるんですね、素敵。
ユーリ
ロシア人の密輸業者。エンゾと組んで、ホッパーを人質にしてジョイスから身代金を得ようとしています。明るくひょうきんで、狡賢く、間抜けさん。演じているのは二コラ・ジュリコ。
ヴィクター・クリール
1950年代に家族を惨殺したとされる殺人鬼。現在は精神病院に収容されています。演じているのは『エルム街の悪夢』で殺人鬼フレディ・クルーガーを演じたロバート・イングランド。
ジェイソン・カーヴァー
ホーキンス高等学校の生徒でバスケ部のキャプテン。チアガールのクリッシーと付き合っていて、変人エディとはあまり仲が良くありません。演説が上手い。演じているのはメイソン・ダイ。
ネタバレ感想
シーズン4前半では、メインキャラクター達が主に4チームに分かれてストーリーが進んでいきました。エルは単独、マイク/ウィル/ジョナサン/アーガイル組、ダスティン/スティーブ/ナンシー/ロビン/ルーカス/マックス/エリカ組、ホッパー/ジョイス/マレー組ですね。
新たな敵ヴェクナの正体
今回、裏側の世界からヴェクナという新たな敵が登場します。ダスティンは、デモゴルゴンが歩兵ならヴェクナは軍師だと表現していますが、ヴェクナは言葉を話す程の高度な知性があり、見た目もデモゴルゴンやマインド・フレイヤーとは違って人型なんですよね。グロい見た目ではありますが、明らかに人間の目をしているヴェクナを見た時、これは元は人間だったんだろうなと察しました。
ヴェクナは裏側の世界から他人の意識の中に入り込み、トラウマを抱えた人物を狙って幻覚を見せて精神的に追い詰め、最後は体中の骨を折って目玉を内側から引き抜いたかのように潰して殺害してしまいます。手足がボキボキとあらぬ方向に折れ曲がり、顔が変形するぐらい顎が外れて目が潰れるという死に様はめちゃくちゃ恐ろしかったです。ホラー表現がグッと強化されたと思いました。
そんな恐ろしい敵ヴェクナですが、その正体はやはり人間で、なんとブレンナー博士の最初の被験体No.001でした。1950年代、ヴィクター・クリールの息子ヘンリー・クリールは超能力に目覚め、他者の意識に入り込めるようになります。周囲に馴染めない子供だったヘンリーは自分を異常扱いする世間を憎み、時間やルールに縛られて規範を押し付ける人間そのものを憎むようになりました。同時に、人間から忌み嫌われる孤独な存在である蜘蛛に惹かれ、自分は蜘蛛と同族だと考えるようになります。生態系に調和と秩序をも齎している蜘蛛こそが神だと崇拝し、自分も捕食者となって調和を乱す害虫である人間を捕食して、思い通りの世界に作り変えることにしたのです。
ヘンリーは超能力で家族を惨殺した後にブレンナー博士のところに送られ、博士はヘンリーの能力をコピーした子供たちを作ったわけです。エルもそのプログラムで作られた子供の一人ということですね。博士の思い通りにならないヘンリーは首にチップを埋め込まれて力を封じられ、職員として子供たちの世話をさせられていました。研究所に縛られるようにして生きて来た中、優れた力を持った幼いエルを言葉巧みに利用し、1979年に研究所で大虐殺事件を起こしたのです。
エルや研究所の子供たちが超能力を手に入れたのはブレンナー博士の実験によるものだと思っていましたが、最初はヘンリーが自身で身に着けた力だったんですね。周囲に馴染めないところや孤独を感じているとこもそうですけど、首をクイッとやって人を殺す所作などもヘンリーとエルで共通していて、ゾワッとしました。何より、ヘンリーがエルに自分がNo.001であることを明かして人間への憎しみや野望を語るシーン、俳優さんの演技力が物凄くてめちゃくちゃ怖かったです。目力半端ない。
ヘンリーはエルを仲間に引き込もうとしますが拒絶され、超能力で対決した末エルに敗れ、その時にゲートが開いて裏側の世界へと落ちてしましました。裏側の世界で何度も雷に撃たれたヘンリーは化け物のようになり、ヴェクナの姿となったのです。
No.001はいないという話が出た時にこの職員がNo.001なんだなとすぐわかったんですが、まさかこの職員がヴィクター・クリールの息子だったとは思いもしなかったし、それがヴェクナだということも、7話まで全然気づいてませんでした。私は鈍すぎでしょうか。エルの過去話と、現在のナンシーたちが追っていた話が繋がっていく流れ、面白くてゾクゾクしました。
今まで、裏側の世界がホーキンスを侵略する理由や目的がイマイチわかりませんでしたけども、世間の常識や規範から外れているせいで抑圧されていた孤独な人間が憎悪を膨らませているという理由が明らかになりましたね。
ヴェクナは裏側の世界から超能力を使ってホーキンスの人間を殺しているわけですが、その時に「私と一緒に来い」というような誘い文句を言っています。そして、ダスティンがD&Dではヴェクナはアンデッドの怪物だと言っています。ヴェクナに殺された人間の死体が、裏側の世界で木の根のようなものに巻かれて飾られていましたね。もしかしたら、殺した人間を裏側の世界でアンデッドに変えるのかもしれません。そして、今後アンデッドとなった彼らがホーキンスに放たれるのかも…?
裏側へのゲートが開いたのは1983年にエルとデモゴルゴンが接触した時が初めてなのかと思っていましたが、1979年にもエルがゲートが開いてるんですね。このゲートはすぐに閉じられたのかな。虐殺事件後にエルはすぐ記憶を封印した(された?)んでしょうか。そして、No.008ことカリは虐殺事件より前に研究所から逃げ出したのかな…?時系列がちょっと混乱しています。
もう一つ疑問なのはマインド・フレイヤーの存在です。まだヴェクナがマインド・フレイヤーの手先かどうかはっきりしてませんけど、彼は蜘蛛を崇拝していたので、蜘蛛みたいな形をしていたマインド・フレイヤーの下で動いてるのかなとは思います。マインド・フレイヤーにも思惑や目的があるのかな。マインド・フレイヤーの能力は宿主を操ることですから、操られることを嫌がっているヴェクナことヘンリーは最終的に決別するような気もしますし、ここの関係は気になりますね。或いはもう操られている状態…?ヘンリーが超能力に目覚めたのは、裏側の世界が作用してるんでしょうか。そして、シーズン1見直してて思ったんですけど、デモゴルゴンは血に反応する的な設定はどっかいっちゃいましたね。
封印していた記憶と向き合うエル
エルは失った力を取り戻すためにオーエンズ博士と共に地下の研究施設に行きます。そこで待っていたのは、パパことブレンナー博士でした。エルは1979年のホーキンス研究所虐殺事件のことを忘れており、力を取り戻すためにはその辛い記憶と向き合う必要がありました。
ブレンナー博士生きとったんか!と少し驚きましたが、そういえば死んだ場面は描かれてなかったなと思って見直してたら、シーズン2ぐらいで研究所の人間が「生きてる」って言ってましたね。
研究所で大虐殺を起こせるほどの力を持ったNo.001と対峙して窮地に陥ったエルは、自分が誕生した時に母がかけてくれた愛の言葉を思い出し、No.001を凌ぐパワーを発揮しました。そして、この封印した記憶を追体験したことで、エルは力を取り戻すことに成功したのだと思われます。
今まで、力の原動力は悲しみを伴うような怒りでした。実の母が受けた酷い仕打ちや、母から引き離されたこと、大切な人たちが傷つけられたこと、いじめられたこと…そういう経験からくる激しい怒りがエルに強い力を齎していました。しかし、No.001に打ち勝った時にエルが力の源にしたのは、温かい愛の記憶です。ブレンナー博士も怒りに飲まれてはいけないというようなことを言っていました。怒りや悲しみや憎しみではなく、もっとポジティブな感情を力に変える方が強いということなんでしょうね。
これでエルは無事に能力を取り戻したんでしょうが、エルにはマイクとの問題が残ってますね。遠距離になり、能力も失ってしまったエルは、マイクの愛に疑心暗鬼になってしまっていました。そのせいで喧嘩したまま離れ離れになってしまっています。マイクにとってエルはスーパーヒーローなんですよね。力を失ったエルにもマイクは「ヒーローだ」と言っていて、だったら力がなくなってしまった私のことはもう愛してくれないんじゃかとエルが不安になっても仕方ないことだと思います。手紙にLoveって書いてくれないと怒るエルはなんか面倒な女の子みたいに見えますけど、ただ不安なんですよ…。
エルがNo.001を凌駕したシーンはめっちゃカッコイイですし、更にパワーアップしたヒーローとしてまたみんなを守るシーンが見れると思いますが、マイクには一人の普通の女の子としてエルを愛してほしいなぁ。
音楽がマックスを救う
シーズン3で義兄ビリーを目の前で殺されてしまったマックスは、その出来事がトラウマとなり、ルーカスたちと距離を置いていました。そこをヴェクナに付け込まれ、トランス状態に入ってしまったマックスはルーカス達の目の前で殺される寸前にまで追い込まれてしまいます。
シーズン3の最後にはルーカスと楽しそうにネバーエンディングストーリーを歌ってダスティンをからかっていたマックスですが、ビリーの件はやはりトラウマになってたんですね。助けられたかもしれないのにただ見ているしかできなかったことの無力感。生きていれば仲の良い兄妹になれたかもしれないという後悔。そんな悲しみに囚われ、自分も死んでしまいたいと思ってしまうほど精神的に弱っていました。ヴェクナにとっては、格好の餌食だったわけです。
ビクター・クリールのことを調べていたナンシーとロビンが、ヴェクナの呪いから助かるには音楽を聞かせることが有効だと突き止めてくれたおかげで、トランス状態になったマックスは間一髪で死を免れます。マックスをルーカスたちの元に引き戻してくれたのは、1985年に発表されたケイト・ブッシュの“Running Up That Hill”という曲でした。“Running Up That Hill”がかかってからマックスが必死に仲間の元に戻ろうと走るシーンが鳥肌が立つくらい感動的で、涙が出ました。知らない曲だったんですけど、気持ちがすごく昂ったんですよね。死が近づいてきて怖かったはずなのに仲間に泣き言も言わず、遺言のような手紙まで用意してどこか諦めてしまっているみたいだったマックスが、ビリーのことで死んでしまいたいとまで思ったマックスが、仲間の元に戻りたい・生きたいと必死に走っている状況にすごくマッチした曲でした。
歌詞的には、男女を入れ替えてみたらお互いの立場がわかっていいのにね、という歌らしいですが、生きているマックスが死んでしまったビリーと立場を交換したがっているような切ない心情とも解釈できますし、ルーカス達がマックスを助けるために丘を駆け上がっていくのも曲のタイトルになぞらえてるんでしょうね。
生きていたホッパー
やっぱりホッパーは生きていました!よかった!なんとかあの爆発から生き延びて、ソ連軍に捕らえられてカムチャツカ送りになっていたようです。あんな木っ端微塵に吹き飛んだ爆発の中よく生きてましたね。
金目当ての看守エンゾと密輸業者ユーリがホッパーの無事をジョイスに知らせ、ジョイスはマレーと共にホッパー救出のためカムチャツカに向かうわけですが、そのことを子供たちには内緒にして旅立ってしまうので、保護者としてどうなの…と、そこだけちょっとモヤッとしましたね。だって、子供たち大変なことになってるんですもん(笑)。死体隠ぺいまでしちゃってましたよ…。
正直、ストーリー的にはホッパーたちのパートはあまり面白く感じなかったのですが、キャラの掛け合いがコミカルだったのと、エンゾのイケメンっぷりに救われましたね。マレーさん、まさかの高戦闘力でビックリしました。それにしても、今のご時世でロシアの拷問を見るのは胸が痛くなります…。アメリカ側の拷問シーンも結構えぐかったですが。
カルトに仕立て上げられたヘルファイア・クラブ
シーズン4から新たに登場したヘルファイア・クラブのリーダーである変人エディとバスケ部キャプテンのジェイソンは、いわゆるスクールカーストの下位と上位にいる人間で、元々そりが合わなかったのですが、クリッシーの死をきっかけにジェイソンはエディをどんどん目の敵にし始めます。
そして、ジェイソンの目の前でバスケ部員が普通では起こりえない死に方をしたため、ジェイソンはヘルファイア・クラブが呪いの儀式で殺人を行う危険なカルト集団で、エディはただの器に過ぎないという妄想ストーリーを組み立て、それをホーキンスの住民に熱弁するわけです。ヘルファイア・クラブはただD&Dをプレイするだけのオタククラブなんですが、最悪なことに世間ではそのD&Dが暴力行為に結び付く悪魔のゲームだという批判が起こっており、住民はジェイソンの演説を真に受けてしまいます。マイクたちの両親も気が気じゃない様子でした。
ジェイソンは本当に演説が上手くて聴衆の気持ちを鼓舞するような力があるんですが、誰かの死や悲劇を利用して自分が正義であるかのように見せたり、自分の思う方向に他者を誘導しようとするので、マックスみたいな当事者には不愉快に聞こえるでしょうね。普通ならジェイソンの「呪い」だとか「儀式」だとかいう話は早々信じないと思うんですが(むしろ異常な死体を見てる警察の方が信じる余地がありそう)、彼の口の上手さ、何年も前からホーキンスで続く不可思議な事件、そして時代背景が相まって、不安が最高潮に達した住民は安易に信じちゃったのかなと思います。
この時代って、オタクが好むようなゲーム・アニメ・漫画などが今よりもっと嫌悪されてました。何の科学的根拠もないのに、暴力行為を助長するとか悪影響があるとか言われてね。ぶっちゃけこういう論は今でもあるんで、そういうの見るたびに腹立たしいんですが。ジェイソンみたいな我こそが正義だと信じて暴走する奴の方がよっぽど危険だしイタい人間なんだから、バスケこそ悪影響があるのでは?って主張してやりたくなる(笑)
そろそろ住民も裏側の世界の存在を知る流れになるんでしょうか。それとも隠し通せるんでしょうか。ジェイソンは真相を知った時どういう態度を取るのか気になります。
最後に
今回も子守役スティーブはすごい良かったですね!!ダスティンとの名コンビっぷりはもう愛おしい。面倒見が良いだけじゃなくて、ちゃんと漢気も見せてるんですよ。ほんと大好き。しかしまさかまたナンシーと良い雰囲気を見せてくるとは思いませんでした。ナンシー…悪い子じゃのは十分わかってるんですよ。勇気も行動力もあるし。でもやだ。ジョナサン!ハッパやっておかしくなってる場合じゃない!だいたい、志望校のことナンシーに言ったらナンシーは夢を諦めてこっちに来ちゃうとかナントカ言ってたけど、どんな目玉つけてたらナンシーがそんなタイプの人間に見えるんでしょうね?ジョナサンの願望か、脚本家が血迷ったかにしか思えない。
ウィルはマイクのことが好きなんですかね~。あんまり女の子に興味はなさそうだし、本心をさらけ出して嫌われたくないとか言ってたし。意味深に持ってた絵は何の絵かな。
それにしてもスティーブとホッパーは毎回ボロボロになるくらい痛い目に遭わされていて可哀想!!