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映画『TENET テネット』ネタバレ感想:難解すぎてわからないのに溢れ出る最高感

『TENET テネット』

映画『TENET テネット』を鑑賞してきました。大好きなノーラン監督なので難解であることは予想して行きましたが、予想以上に難しくてほとんど理解できませんでした!理解できないのに面白い!何なんでしょう。ほんとわからなかったので解説なんてできないのですが、一応記事を残しておきたいです。これは絶対に複数回の鑑賞が楽しいやつですけど、一時停止とか巻き戻しとかして見たいので早く円盤で出て欲しい。

あらすじ

ウクライナのキエフにあるオペラハウスでテロ事件が発生する。CIA工作員である”名もなき男”は、オペラハウスに潜入していた仲間を救出するべく、特殊部隊に紛れてオペラハウスに突入。仲間の救出に成功するものの、ロシア人に捕まってしまう。拷問の最中に隙を見て自殺用のピルを飲むが、それは自殺用ピルではなくテストだった。目が覚めた男に、ある任務が言い渡される。それは、未来から送られてきたという”時間の逆行”を可能にした装置を使って、これから起こる第三次世界大戦を阻止して世界を救えというものだった。

作品情報&予告動画

原題Tenet
監督クリストファー・ノーラン
脚本クリストファー・ノーラン
制作エマ・トーマス
クリストファー・ノーラン
音楽ルドウィグ・ゴランソン
撮影ホイテ・ヴァン・ホイテマ
出演者ジョン・デヴィッド・ワシントン
ロバート・パティンソン
エリザベス・デビッキ
ケネス・ブラナー

ネタバレ感想

ちょっとわたしの理解力ではあまりに何も言えないので、ちょこちょこ解説などを読んで参りました…。ちょこちょこなので、まだわからない部分はたくさん残っておりますが、とりあえず自分の感じたことを残しておいてからゆっくり詳しい解説を読み漁りたいと思います!

名もなき男が世界を救う

この映画の主人公の男、名前がないんですよね。誰からも名前を呼ばれないのです。相棒のニールからも。映画に没頭していると名前がないことにも気づかないんですけど、そういえば主人公の名前なんだっけって思い返すと、わからないんです。それで、もしかして名前出てこなかった?って気づくんです。自分で自分のことを「主人公(protagonist)だ」って言うシーンはあるんですけどね。”名もなき男”が世界を救う壮大なストーリーって、かっこいいですよね。しかも、後から「そういえば名前は…?」って気づく感じがたまらない。うまいなぁ。でもきっと、世界はそういうことで溢れてるんですよね。名前も知らない誰かに救われてるのかもしれない、そんなことを思わせてくれました。

TENETの意味

世界を救う任務を課された”名もなき男”は詳細をほとんど知らされませんでしたが、唯一”TENET”という言葉だけ教えられました。tenetの意味は教義、信条。映画では”主義”と訳されていました。単語としての意味だけでなく、文字列にも意味があります。TENETは回文になってるんですよね。右から読んでも左から読んでも同じです。そして、物語の終盤、”名もなき男”たちが世界を救うために身を投じた作戦は、”挟撃”です。9つ揃うと時間が逆行して人類が消滅するという兵器”アルゴリズム”を奪還するために、順行と逆行で挟み撃ちをするという作戦です。つまり、”TENET”という言葉も”挟撃”を示していると思われます。しかも、最終作戦の制限時間は10分間。10=TENです。”TENET”の文字列の最初も最後もTENで出来てます。色々な意味が込められすぎていてやばい。気づける人もやばい。”名もなき男”に任務を与えた男が、左右の手を交差させるようなジェスチャーをしてたと思うんですが、これも挟撃を示していたんですね。

そしてもうひとつ、この映画に出てくる単語を使った回文が存在します。SATOR式と呼ばれるラテン語の回文で、”SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS”というものです。これも右から読んでも左から読んでも同じですよね。文としての意味はあまりありませんが、この回文、四角形に組むとどこから読んでも同じに読める上にTENETの文字が中心で十字になるのです(詳細は出典リンク先へ)。このSATOR式に使われてる単語は全て劇中に出てきますので、確実にこれを意識してるのでしょうね。ちなみに、各単語は以下のように出てきました。

SATOR…セイター。主人公の敵。未来人との契約により”アルゴリズム”を完成させようとしていた。
AREPO…アレポ。姿は出てきませんが、セイターが持っていたゴヤの贋作を描いた人。
TENET…テネット。タイトル。
OPERA…オペラ。冒頭のテロが起きるのはオペラハウス。
ROTAS…ロータス。オスロのフリーポートを運営してる会社。

出典:【ネタバレ解説】『TENET テネット』の意味、SATOR式でセイター、アレポ、オペラ、ロータス考察 – THE RIVER

時間逆行の原理と回転ドアのルール

未来人によって時間逆行が可能になったわけですが、その原理は「エントロピーの減少」なのだそうです。エントロピー、わたしのような文系人間を惑わすこの言葉、時々耳にしますがよくわからないです。エントロピーとは「乱雑さ」を表す概念です。もうわからないですよね!物理学的に、エントロピーは低い方から高い方へ増大するだけで、低い方へ減少することはあり得ないとされています(エントロピー増大原則)。物理学者のマクスウェルが提唱した思考実験により、エントロピーの減少が可能なのではないかという問題が浮上して長年科学者たちを悩ませたそうですが、結局は不可能ということで決着がつきました(マクスウェルの悪魔)。TENETで描かれた未来では、不可能とされたエントロピーの減少を実現したことで時間を逆行させることに成功したのです。劇中、女性科学者が主人公に銃弾の逆行を見せるシーンがありますよね。あそこらへんのシーンに映るホワイトボードに、マクスウェルの悪魔で提唱された図が描かれているのが確認されています。まあただ、そんなことわからなくても問題はないです。劇中で言われたように、時間の逆行については考えるのではなく感じることが大事です。ただ、物理学者の方が科学考証として参加しているので、ノーラン監督は理論からしっかり考えてこの映画を製作していることがわかります。

主人公たちは回転ドアを使うことで逆行することが可能になりますが、回転ドアを使用する際にはルールがありました。

  • ドアに入る時には、検証窓の向こうに逆行(もしくは順行)する自分の姿を確認しながら入ること。見えないと出られなくなってしまう。
  • 逆行している間は肺に空気を取り込めないため、酸素ボンベを使用する。
  • 粒子の対消滅が起きてしまうので、防御スーツを身につけずに過去の自分に触れてはいけない。
  • 逆行中は熱の反転が起き、火は氷へ変わる。

このようなルールがあります。回転ドアに入る時、順行する部屋は赤、逆行する部屋は青の照明が当たっていましたね。最後の挟撃作戦で順行チームが赤、逆行チームが青と色分けされましたが、もっと早い段階から色で示されていたのですね。酸素ボンベしている人がいたら、それは逆行中の人ということです。

オスロのフリーポートでの戦いはどういうこと?

主人公とニールはセイターが所持するゴヤの贋作を処分するためオスロのフリーポートに来るのですが、この時、黒い防御スーツを身に着けたふたりとの戦闘が繰り広げられます。防御スーツを着た人間の動きは逆行しており、順行vs逆行の面白いバトルです。物語が進むと、この防御スーツを着た人間は逆行している主人公であったことが判明します。で、順行主人公vs逆行主人公のバトルが行われていた一方で、順行ニールの前にも防御スーツを着た主人公が現れるのですが、これがどういうことなのかちょっとわからないんですよね…。あの場に主人公は何人いたの??

飛行機が激突するシーンは、本物の飛行機を用いて撮影したそうです。すごいですよね。ノーラン監督は本物にこだわることで有名なので、時間の逆行という特殊な現象を描く本作でも極力CGやVFXを使っていません。普段アクションをあまり見ないわたしには、逆行のアクションなんて何がどうなってるのかもわかりませんでした。

迫力の逆行カーチェイスシーン!!…しかし、どういうこと?

世界を消滅させる兵器”アルゴリズム”の最後のパーツである”プルトニウム241”を巡って、主人公たちとセイターが高速道路で迫力のカーチェイスを繰り広げるんですが、ここもまたリアルな映像ですよ。すごい。しかしわからない。順行の主人公たちと、逆行のセイターと、逆行の主人公がぶつかり合う複雑なシーンでして…もう何が何だか(笑)。順行主人公たちが”プルトニウム241”を運んでいる車両に侵入して盗んで行くんですけど、逆行のセイターがキャットを人質にしてそれを奪いにやって来るんですよね?この時のキャットは酸素マスクしてましたっけ?してなかったかな?ちょっと覚えてないです…。で、順行主人公は逆行主人公の車に”プルトニウム241”が入ったケースを投げ入れて、空のケースを逆行セイターに渡したんですよね?ところが順行主人公とキャットはセイター側に捕まってしまってフリーポートで尋問を受け、キャットが腹を撃たれますが、そこに味方の部隊が駆け付けてきます。それから主人公は回転ドアに入って逆行状態に入り、高速道路でのカーチェイスシーンの逆行主人公側の流れが見えてくるのですが…ちょっとよく、わからなくて…。ケースの動きはどうなってたんでしょう?外に投げ出されたケースは何でしたっけ。。とにかく”プルトニウム241”はセイターの手に渡ってしまいました。カーチェイスシークエンスは解説をしっかり読んでもう一度鑑賞したいですね。

時間挟撃作戦

”プルトニウム241”がセイターの手に渡ったことで、9つのパーツが揃ってしまいました。主人公とニール、プリヤの私設部隊とそれを率いるアイヴスは、地図から消された街であるスタルスク12で”アルゴリズム”奪取のための時間挟撃作戦を開始します。スタルスク12では、オペラハウスでのテロと同じ日に爆発が起きていたことが報告されています。その爆発が起きた時刻を起点として、順行する赤チームと逆行する青チームが10分間の挟撃作戦を行うのです。ニールは青チームに、主人公とアイヴスは別動隊として順行することになります。順行と逆行が入り乱れ、破壊されたビルが復元してるように見え、もう何が何だか!特にニールがどういうことになってるのかわからないです…。逆行していたニールは途中で順行に切り替えてるんですよね。
で、主人公とアイヴスは”アルゴリズム”を起動させようとしているセイターの部下の元に辿り着くのですが、扉の鍵が閉まっていて近づけない。しかも、扉の向こうには作戦部隊らしき人の死体が転がっています。その死体にはストラップのようなものがぶら下がっています。”アルゴリズム”が起動されるかと思った瞬間、なんと死体が蘇り、鍵を開けて走り去って行きました。”アルゴリズム”の奪還に成功した主人公とアイヴスは、間一髪でニールに地上へ引き上げられて爆発から無事生還することができました。そして、ニールの口からこの時間挟撃作戦の黒幕は主人公だったことが告げられます。未来の主人公がこの作戦を立て、ニールを雇ったのです。ニールは元々主人公を知っていたのですね。初対面(に見えた)の時、主人公の主義を知っていた口ぶりだったのはそういうことです。ということは、あの時点でニールは未来から逆行してきてから主人公と会っていたということですか…?んー?混乱します。
「鍵開けが得意な奴が必要だろ?」と言ってアイヴスと共に戻って行くニールには、あの死体がつけていたストラップがついてました。つまり、あの鍵を開けてくれた死体はニールだったのです。一体いつニールはあの場所に行ったんでしょう?「鍵開けが必要」ということは、これから行くんでしょうか??んん?もうほんと混乱します。蘇って扉を開けて逃げ去って行ったように見えたのは逆行だったので、本当はニールは走って来て扉に入って鍵を閉めて死んだってこと…??それはなんかおかしいか…。ちなみに鑑賞時のわたしは、ニールが死んだと思ってませんでした。

さらに、スタルスク12の出来事はオペラハウスのテロと同日に起こっています。あのオペラハウスでも主人公はニールに助けられているんですよね。ニール…わたしはまだ君の行動を理解しきれてないけど、めっちゃいいやつってのはわかってる…。キャットがベトナムでセイターを殺したのも同日です。

未来人の目的

未来の人たちは何らかの理由で滅びゆくことを悟ります。順行の時間ではもう生きていくことができないのです。そこで、時間を逆行させて過去を生きることにします。そのために、世界の時間を逆行させる”アルゴリズム”を起動させようとしたのです。”アルゴリズム”を起動させられると時間が逆行し、酸素マスクをしていない現代人は消滅してしまうということですよね。未来人が現代人を殺したら未来の自分たちが生まれないじゃん~というのが劇中でも出て来た”祖父殺しのパラドックス(grandfather paradox)”というやつです。”アルゴリズム”が悪用されないように、開発した未来の科学者は9つに分割して過去に隠しましたが、”アルゴリズム”を使おうとしている未来人が過去のセイターを利用して、9つのパーツを集めさせたのです。

なぜセイターは人類を消滅させようとしたのか

セイターはスタルスク12で生まれました。核施設のある街でしたが、爆発により汚染され地図から消されてしまった街です。セイターはそこでプルトニウムを発掘する仕事をしていました。そこで、”アルゴリズム”のパーツを探し出してくれという未来人からの契約書と金塊を見つけます。契約をしたセイターは財力を手に入れ、武器商人として世界中でパーツを探し出しました。最後のパーツが、冒頭のオペラハウスにあった”プルトニウム241”です。セイターはすい臓がんを患っており、命が尽きようとしていました。自分が死んだとき、”アルゴリズム”も起動するように仕掛けをしています。自分の死に世界を道ずれにしようとしたのです。結局はキャットによって殺されました。

爆発によって汚染された街というと、チェルノブイリの事故を思い起こしますね。TENETは随所で原子力とか核兵器を連想させてると思います。

ニールの正体

鑑賞した時わたしは全然思いもしなかったのですが、ニールの正体はキャットとセイターの息子であるマックスだという説があるようですね。すごく面白いと思います。セイターが最後、「最大の罪は息子をもうけたことだ」というようなことを言っていたと思うんですが、野望はニールによって阻まれましたからね。ニールが主人公を命がけで助けるのも、母であるキャットを救ってくれた人だからなのかもしれません。主人公はセイターの手からもプリヤの手からもキャットを救ってくれましたからね。説なので本当にマックスなのかはわからないですが、そうでなかったとしても、ニールと主人公の絆・友情はラストにすごく熱く響いてきました。いきなり話しかけてきて、気づいたら相棒面してて何か不思議だな~と思ってましたけど、最後にはもう「ニール最高かよ…最高かよ(涙)」って感じでした。

最後に

まだ全然理解できていないので何度も見返したいです。それにしても、こんなに理解できなかったのにめちゃくちゃ面白く感じるなんて最高すぎませんか?たぶん初見よりも2回目以降の方がもっともっと面白いと思います。難しいのである程度ネタバレ読んでから鑑賞するのもアリですけど、最初は事前知識を入れずに鑑賞する方がいいんじゃないかなと思います。初っ端こそ最も「考えるな、感じろ」が体験できますから。