『ウエストワールド』シーズン1 第1話『目覚め』ネタバレ感想:大人のテーマパークを舞台にした超難解な物語

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『ウエストワールド』は『ゲーム・オブ・スローンズ』のHBOが手掛けるSFスリラーになります。2016年から放映が始まり、現在シーズン3が放映中ですが、わたしはまだ未視聴です。早く見たい!2までは視聴済みなので、2周目しながらレビューしていきたいと思います。初見から時間経ってるので2周目といえどだいぶ忘れてます。そしてめちゃくちゃ難解なので2周目でもチンプンカンプンかもしれなくて、ちゃんとレビューできるか不安ですが…。
さすがHBOクオリティと言いますか、相変わらず世界観の作りこみが素晴らしくて、またすごいお金かかってそうだなと思わされます。出演してる役者さんもとても豪華で、主演のエヴァン・レイチェル・ウッドをはじめ、タンディ・ニュートン、ジェフリー・ライト、エド・ハリス、大御所アンソニー・ホプキンスなど、有名映画でも活躍している名優さんたちが多数出演しています。アンソニー・ホプキンスはTVドラマに出演するのはこれが初めてみたいですね。アメリカではTVドラマと映画の格差がなくなりつつあるようです。
このドラマは小説家マイケル・クライトンが初監督した1973年の同名映画『ウエストワールド』に基づいていて、脚本は『ダークナイト』などを手掛けたジョナサン・ノーラン(そりゃ難解になるわ)が、製作総指揮はJ・J・エイブラムスが務めています。音楽は『ゲーム・オブ・スローンズ』も手掛けていたラミン・ジャヴァディが担当しています。オープニングの曲がカッコよくて好きです。
何度でも言いますが非常に難解で視聴がストレスになることさえあるのですが、この第1話『目覚め(原題:The Original)』は掴みとして面白いと思います。以下、ネタバレしていきますのでご注意下さい。
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ウエストワールドとは?
感想に入る前に、「ウエストワールド」とは何なのかについて説明しておきます。「ウエストワールド」はアメリカの西部開拓時代を再現して作られた大人向けのテーマパークです。要は西部劇を体験できるような場所ですね。体験といっても、めちゃくちゃガチです。なんせ訪れる客(ゲスト)は1日約450万円という高額なチケットを支払うような超富豪ばかりですから!ゲストは新参者(newcomer)と呼ばれ、ホストである保安官、賞金稼ぎ、娼婦、農園者などのアンドロイドたちに誘われて様々なシナリオに参加することができます。正義の味方になるもよし、悪党になるもよしです。アンドロイドたちは人間そのもので、ホストとゲストの見分けはつきません。なぜ”大人の”テーマパークなのか、それはゲストはパーク内でアンドロイドに何しても自由だからです。暴力ふるってもいいし、レイプしてもいいし、殺したっていいのです…。反対に、ホスト(アンドロイド)はゲスト(人間)を傷つけることはできません。命の保証をされながら、人間はウエストワールドで自由を楽しむことができるのです。もしも現実にこんなテーマパークがあったら、皆さんは行ってみたいですか?わたしは行ってみたいけど、1日450万は無理です。
ネタバレ感想&考察
プログラムされたストーリーをループするホストたち
朝目覚めて、玄関のポーチにあるカウチに座る父と言葉を交わして、絵を描きに出かける。それが、農場の娘であるドロレス(エヴァン・レイチェル・ウッド)の一日の始まりです。パークを訪れるゲスト達が乗る汽車に乗り、パークの入り口にある町『スイートウォーター(Sweet Water)』に降り立ったカウボーイ風の男はテディ。酒場に入り、窓の外にドロレスの姿を見つけたテディ(ジェームス・マースデン)は娼婦の誘惑を断ってドロレスの元へ向かいます。二人の会話から顔見知りであることがわかります。テディは前にもウエストワールドに来た事があるゲストで、ドロレスに恋をしているみたいですよね。二人は広大な荒野に馬を走らせ、暗くなってから農場に戻ると、ドロレスの父ピーター・アバナシーと母親は強盗達に襲われ殺されていました。テディは強盗達を射殺しますが、慟哭するドロレスの元に怪しい黒服の男(エド・ハリス)が現れます。ドロレスは銃を向けますが、黒服の男は「30年通ってもまだ俺を覚えないのか?」と言います。つまり彼はゲストですね。しかも随分前からの常連です。ホストは常連の顔を覚えることはないのです。テディはドロレスを守るために黒服の男と対峙しますが、傷つけることはできませんでした。まるでゲストのように登場してきましたが、テディは人間ではなかったのです。黒服の男はテディを射殺し、泣き叫ぶドロレスを納屋へと引きずって行きました。しかし、酒場の音楽が鳴り新しい朝が始まると、ドロレスはまた同じように目覚め、父親と会話をし、テディは汽車に乗っているのです。そして、家族と恋人を殺し自分を痛めつけたことも忘れ、黒服の男と再会しても笑顔で応対してしまう。ウエストワールドのすべては、ゲストの欲望を満たすために作られたものなのです。
ホストたちは各々のストーリーをループしていますが、ストーリーは一本道ではないのでいつも全く同じルーティーンをしているわけではありません。例えばテディがゲストに道案内を頼まれたらドロレスとは合流せず、ドロレスは川のほとりでひとりで絵を描いていたりします。ひとりのホストのストーリーに何通りもの分岐があり、ゲストの有無や選択によって変化する感じです。それらホストのストーリーが組み合わさって、ひとつの大きな物語ができている感じですね。農場が強盗に襲われず、ドロレスと両親たちは無事に1日を終えるパターンもあるわけです。様々な物語が多くのゲストによって進められてるので、時間の管理とかどうなってるのか考えだすとわたしは混乱します。ちなみに、基本的にホストは台本通りに動くように制御されてますが、ほんの少しの『即興』をすることもあるようです。
ウエストワールドを運営するデロス社
この最先端の巨大テーマパークを運営しているのはデロス社といいます。ウエストワールド以外にもいくつかパークがあり、シーズンが進むと出てきます。
このパークを創設し、ホスト達の創造主でもあるのが天才科学者ロバート・フォード博士(アンソニー・ホプキンス)です。彼はホストを創造するだけでなくシナリオを考えたりするなど部門を超えた仕事をしており、社においてかなり力を持っています。創設者ですからね。
ホストの基本的な設定をしたり異常行動を解析するのは矯正部の担当です。矯正部の部長でウエストワールドのプログラム責任者であり、フォードの弟子でもあるのがバーナード・ロウ(ジェフリー・ライト)です。彼の下についてるのがエルシー・ヒューズという女性のプログラマーですね。
テレサ・カレンは品質部の責任者です。品質部はパーク全体の品質と安全性を管理しています。例えストーリーラインに大きな影響があろうとも異常の可能性があるホストを全て回収させるなど、ゲストの安全性を優先させていますね。品質保証と安全の責任者なので、自分の構想の実現のために強引な手段をとるフォードをよく思っておらず、失脚を狙っています。
パークの物語を作成しているのが脚本・デザイン部門で、リー・サイズモアはその責任者です。テレサは彼の脚本を「下劣な幻想」と扱き下ろしました(笑)彼もフォードのことを良く思っていません。リアルを求めすぎているという彼の意見はわりと正しいように思います。
武装チームを率いてバーナードと共に地下の低温倉庫に向かったアシュリー・スタッブスはセキュリティの責任者です。パークの模型で園内を監視している場所をコントロール・ルームと言いますが、彼はそこでパーク内を注視しています。
デロスの人間はパークで何か起きた時に園内におりていき、ホスト達の動きを止めて回収作業を行ったりします。ホストが暴走して管理側の人間が登場してくるとは、450万も払ったゲストからしたら恐怖ですし興覚めですね。
パークを管理している施設をメサハブ(Mesa Hub)といいます。崖みたいなところにカモフラージュされています。コントロール・ルームや各部門のフロア、オフィスから居住区もあり、最上階にはバーがあり、そこは崖の上になっていますね。テレサが酒を飲んでいるところにリーが話にきてましたよね。あそこがバーで、メサゴールド(Mesa Gold)と言います。地下には低温倉庫があります。
ちなみに、デロス社のホームページもきちんと用意されています。英語しかありませんが興味がある方は覗いてみて下さい。
デロス・デスティネーションズ:https://www.delosdestinations.com/
(ウエストワールドを運営しているのが子会社のデロス・デスティネーションズです)
夢幻(レヴェリー)
フォード博士は一部のホスト達にプログラムのアップデートを施しましたが、そのプログラムの影響でホストたちが異常行動を見せ始めます。アップデートプログラムの名前が『夢幻(レヴェリー)』です。バーナードが最初に異常に気付いたのは、娼婦がプログラムにない仕草を見せたことです。その後、保安官が痙攣のような状態に陥ったり、撃たれて死ぬはず悪党が誤動作を起こすなどし、バーナードはレヴェリーが原因だと確信します。アップデートしたホストは全て回収されて検査に回ることになり、物語は変更を余儀なくされます。多数のホストが回収されてしまうため、シナリオ担当のリーは予定を一週間早めてヘクターを町に向かわせます。冒頭で賞金首の張り紙に描かれてた、連邦保安官を殺して山に潜伏してるという悪党です。「名演説を考えた」と自信ありげにテレサにアピールしますが、いよいよって時にヘクターはゲストによって撃ち殺されてしまい演説は聞けずじまいでしたね。せっかく考えたプロットもゲスト次第で変わるのです。
バーナードがフォードのことを「密かに手を加える」と評していましたが、勝手に知らないプログラムを組み込まれるとしたら、安全管理を任される立場のテレサとしては見過ごせないですね。レヴェリーとは一体どんなプログラムなのでしょうか。レヴェリーによって、ホスト達は特定の記憶に関連した動きを見せるようになります。ホスト達は過去様々な役割を演じています。その記憶は削除されてしまいますが、潜在意識として残っているとバーナードは言います。フォードはホストの潜在意識にアクセスする方法を見つけたのです。フォードの目的は何なのでしょうか。「人類は絶頂期でこれ以上進化しない」と言っていました。しかし、アンドロイドはまだ進化の途中にあるものです。彼はアンドロイドの時代をもたらそうとしているのでしょうか。
黒服の男
テディを殺しドロレスに乱暴した黒服の男は、30年前からの常連さんです。だいぶドロレスに思い入れがあるようで、乱暴したり甘い台詞を送ったりと、二人の間に何かがあることは確かですね。そして30年通っているということは、めちゃくちゃな財力の持ち主です。
酒場のディーラーであるキッシーの喉を掻っ切って捕らえ、失血死しないギリギリの量をコントロールして人気のない場所まで連れて行き、何かの情報を得ようとする黒服の男。彼は「ゲーム」について知りたがっています。「他の客は快楽に溺れ殺しを楽しんでいるだけだが、俺はもっと奥を見つけたい」と言います。そして手にしたナイフでキッシーの頭を剥ぎ取り、その頭皮の裏には迷路のような模様が描かれていたのです。かなり残酷で謎だらけな男です。
異常な行動を見せる父ピーター
ドロレスの父ピーター・アバナシーは農場の土に埋もれていた写真を拾ってから様子がおかしくなります。その写真は色褪せていますが、現代的な風景を背に笑顔を見せる女性の写真でした。ピーターはその写真を持ち帰り、ずっと眺めています。ドロレスに見せ、「これはどこだ?」と問いますがドロレスは「なんでもないわよ」と言って気にしません。しかしピーターはその見たことがない風景に違和感を覚えます。翌朝いつものようにドロレスがポーチに出ると、ピーターは一晩中そこで写真を眺めていました。「持つべきではない疑問が浮かんだ」ピーターは「知るべきではない答えを得た」と言います。その持つべきでない疑問をドロレスに伝えようとすると、言葉が上手くでてこず挙動がおかしくなります。そしてピーターはドロレスに「ここを去れ。地獄は空だ、悪魔はここにいる」と言って娘の耳元で何かを囁きました。
ピーターは回収されてフォードの解析を受けます。プログラムに何が?と問われたピーターは「生まれる時泣き叫び、この世界は愚か者どもで満ち…」と意味不明な発言をします。フォードに過去の設定にアクセスするよう命令されると、初めは普通に質問に答えていましたが徐々に様子がおかしくなり、「奴らのことをドロレスに警告しなければ」と言い出します。そして「あんたのことも」と、まるで憎悪してるかのような目でフォードを睨みました。現在の設定にアクセスを戻し、名前を問われたピーターは「バラはバラでありバラである」とまたも意味不明な返答をします。そしてフォードに目的を問われると虚ろだった視線を真っすぐフォードに向け「製作者にあうこと」と答えるのです。フォードが「あって何をするのか」と問うと、ピーターは不敵に笑って「機械の汚れた手で--お前に復讐しよう。お前にも。それが何であれ私にもまだ分からぬ。だが世界は恐怖におののく」とフォードとバーナードを睨みつけ、フォードに掴みかかったところでピーターは停止されます。そして彼は地下の低温倉庫送りとなってしまうのでした。
太字にしたピーターの台詞はシェイクスピアとガートルード・スタインの引用なのです。ピーターは過去何役も演じてきており、以前は保安官でその前は教授でした。その時、シェイクスピアなどの引用を好む設定だったのです。バーナードはレヴェリーの影響だと言いますが、フォードは過去の亡霊が現れただけとするのみでした。
激しい喜びは激しい破壊を伴う
ドロレスはスタッブスから診断を受けます。ピーターが耳元で囁いた言葉を尋ねられると、「父は”激しい喜びは激しい破壊を伴う“と言っていた」と答えました。ちなみにこのフレーズもシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」からの引用です。スタッブスが意味があるのかを訊くと、ドロレスは「いいえ」と答えます。スタッブスの「嘘をついたことがあるか」「生物を殺したことはあるか」という問いにも、ドロレスはすべて「いいえ」と答えるのでした。
ドロレスは最古のホストでした。記憶を消去され、またパークに戻されます。いつもと同じように朝目覚めてポーチに出ると、違うホストが父親としてカウチに座っていました。
低温倉庫へと連れて行かれたピーターは、バーナードから何か言葉を掛けられますが聞き取れません。しかしピーターの目からは一筋の涙がこぼれます。
ドロレスの首筋にハエが止まりました。それまで顔にハエが止まろうが目玉にハエが止まろうが微動だにしなかったホスト達ですが、ドロレスはその日、首筋に止まったハエを叩き潰しました。
最後に
最初の1話としては掴みのよい話になってると思いました。特に、目玉にハエが止まるドロレスで始まり、ハエを叩き潰すドロレスで終わるという流れは上手いなあと感じました。よくホストにハエがたかるシーンがあって「汚いな」なんて思ってたので、なるほどそういうことねってなりましたね。
感情をオンオフする演技とか、診断中の虚空を見つめてるような一切表情のない演技とか、俳優さんたちの演技が素晴らしいです。ドロレスの寄り目っぽい感じとか大変そう。
わたしはシェイクスピア詳しくないので、引用されても気づけない上に文学的過ぎて意味すらわからなかったりするのですが、知っている人でしたら何かピンとくるものがあるのかもしれないですね。
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