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Netflixドラマ『13の理由』シーズン3全13話ネタバレ感想:完全な善人や悪人なんていない…とはいえ胸糞悪い!

『13の理由』シーズン3全13話

Netflixドラマ『13の理由』シーズン3を全話鑑賞しました。なんか…なにひとつスッキリしませんでしたね。これ、全員クズなのでは?って気分にさせられました。特に最終話は見ててとても不愉快でした。

あと、わたしは字幕で見てるのですが、字幕監修変わりましたかね?確認してないのですが、すごくわかりにくくなりました。めっちゃカタコトで話してるみたいな訳し方の時もあったし。しかも、男性キャラがみんな一人称に「僕」を使ってて違和感ありました。前からそうでしたっけ?ジャスティンやブライスの一人称「僕」でした?

あらすじ

タイラーの銃撃未遂が起きた春祭りから8ヶ月後。リバティ高校とヒルクレスト高校のアメフト部の対抗試合が開かれた。ヒルクレスト高校のアメフト部には、転校したブライスの姿があった。そして試合の後、ブライスは行方不明となる。

新たな登場人物&キャスト

アニ・アチョラ

春祭りの後リバティ高校に来た転校生。ブライスの母親・ノラは離婚して介護のために父親の家へ移るのですが、アニの母親がその家のお手伝いさんとして住み込みで働いています。アニとブライスは同じ家で暮らしている状態です。クレイと仲良しで、クレイはアニに気がありますが、彼女は…。演じているのはグレース・サイフ。

ネタバレ感想

クレイ達が直面した新たな事件と、もはや関係のないタイトル

シーズン2まででハンナの自殺についてはほぼ片が付いたので、シーズン3はタイラーのことがメインになるのかと思いきや、ブライスの死から始まりました。しかも、何者かに殺害されたのです。強姦魔ブライスは非常に軽い処分で済まされたので、彼には何らかの試練が与えられ、きちんと犯したことと向き合って罪を償い、その上で更生というストーリーを個人的には望んでいましたが、彼は殺されてしまいました。そしてシーズン3は、誰がブライスを殺したのか?を紐解いていくものでした。ブライスが殺された、という時点で期待していたものと違う予感がしましたね。

『13の理由』というタイトル、もう何にも関係なくなりましたね。ハンナのことが終わった時点で、『13の理由』は終わるべきだったように感じます。シーズン2でほったらかしのままになったことは、どうなったんでしょう。クラブハウスでのことは、もう闇に葬られたんですか?野球部のコーチをしていた先生は?証拠の写真を燃やしていたニナは?先生とニナはシーズン3に登場すらしませんでした。クラブハウスで行われていたことが見逃されたまま次の事件に行くとは思いませんでした。ある意味リアルと言えばリアルですが、投げっぱなしみたいで気持ち悪い。そして、コートニーは少しだけ出番がありましたけど、ライアンとマーカスは消えましたね。

ブライス事件の真相

クリーンな人間なんてひとりもいない、誰もがブライスを殺害する動機を持っていた――なんて不穏な状況の中、またしても秘密だらけのテープメンバーたちに1話ずつ疑いの目を向けてストーリーは進んで行きます。後半、警察は容疑者をクレイに絞りました。クレイはハンナ事件の時に銃を持ってブライスの家の前まで来ていたことが防犯カメラの記録に残っていたのと、対抗試合の夜にブライスに「殺してやる」とメッセージを送っていたことで、強い殺意を抱いていたと思われたのです。

クレイが容疑者となり、正しいことをするべきだと考えたザックは警察に自白しに行きました。対抗試合のハーフタイム中に起きた暴動の時、ザックはブライスにタックルされて膝を故障し、スポーツマンとしての自分の将来を潰された怒りに支配され、試合後に埠頭にいたブライスに暴行したのです。手足を片方ずつ折り、顔を何度も殴りつけた衝撃でブライスはコンクリートに頭を打ち付けました。動けないブライスをそのまま放置して、ザックは立ち去りました。しかし、ブライスの死因は殴打によるものではなく、溺死でした。ザックが暴行した後もブライスの意識ははっきりしており、動けない状態ではありましたが生きていました。

ザックが去ったあと、アレックスとジェシカがブライスの元へやってきます。ブライスはジェシカに謝罪を録音したテープを渡したくて、埠頭に呼び出していたのです。テープを受け取った2人はブライスを残して立ち去ろうとしますが、動けないブライスは助けを求めます。渋々アレックスがブライスに肩を貸して助けますが、あまりの痛みにブライスの言葉は過激になり、ハーフタイムの暴動を引き起こしたジェシカを責める言葉を口にし、ザックには復讐を仄めかします。大事な友人達が傷つけられるかもしれないと思ったアレックスは、ブライスを川に突き落としました。手足を折られて泳げないブライスは、助けを求めながら溺れ沈んで行きました。

アレックスとジェシカは口を閉ざし、事件のことを秘密にします。警察よりも先に真相に辿り着いたアニは作戦を立て、刑事であるアレックスの父に嘘の証言をします。タイラーへの暴行で逮捕されたモンゴメリーがブライス殺人犯だと言ったのです。そして、クレイ達はアレックスとジェシカを守るために工作をし、口裏を合わせることにしたのです。アレックスの父は、殺害現場に妻の車のタイヤ痕が残っていたことから、アレックスが犯人であることに薄々感づいていました。しかも、ブライス殺害犯に仕立てられたモンゴメリーは既に独房で殺害されていたのです。アレックスの父は息子を守るため、アニの「死者をして死者を葬らしめよ」という言葉に乗ることにしました。

これが、大まかな事件の真相です。もうほんと胸糞悪い!胸糞悪いし、雑な部分に突っ込まずにいられない。ブライスの死因は最初銃殺だと報道されましたが、これは新聞社による誤報で、4話で鈍器による殴打だと訂正されます。が、最終的に12話で溺死であることが判明しました。何回死因が変わるねん!しかも、最初は新聞による誤報(笑)。鈍器って何だったの?顔殴られた反動でコンクリートに頭打ち付けれたのを鈍器だと思ったってこと?モンゴメリーは雑に殺されちゃうし、もう滅茶苦茶よ。

あと、ザックのブライスに対する暴行は罪にならないんですか?タイラーへの傷害でモンゴメリーは逮捕されましたよね?自白したのにザックの傷害事件は罪に問われないんですか?

ややこしすぎる時間軸

シーズン3は以下の3つの時間軸が混在しながら進んで行きます。画面で時間軸がわかるようになっています。

①ブライスが殺害されるまでの時間軸。フルスクリーンで彩度が明るめ。
②ブライスが殺害された後の時間軸。画面の上下が切れてるシネマスコープサイズになり、彩度が落ちる。
③アニが警察で証言している時間軸。シネマスコープサイズで、モノクロになる。

これがもうややこしいのなんの。③のアニはナレーションでもちょいちょい他の時間軸に介入してきて、集中できない。時間軸が変わった判断がつくように工夫はされてますけど、例えば後で「あのシーンのジェシカとジャスティンはどの時間軸だったっけ?」と思い出そうとする時に、わからないんですよね。ブライス死亡後のジェシカなのか死亡前のジェシカなのかわからない。画面の上下が切れてたかどうかなんて覚えてるわけない。なんでこんなわかりにくい構成にしたんでしょう。

ハンナの事件からろくに学ばない子供達

ハンナの事件があって、テープメンバー達の間には固い絆が生まれました。個人間では仲の良し悪しはありましたが、シフトまで組んで皆でタイラーを守り、タイラーを立ち直らせたのは単純に凄いと思いました。タイラーに信頼できる友人ができて良かった。特にクレイは、ハンナを救えなかったことが反動となったのか、度を越したレベルで世話焼きになってます。勝手に人の車を開けて中を見たり、勝手に人の携帯を見たり、勝手に人の家から手紙を持ち出したり、犯罪レベルの行動は如何なものかと思いますが、積極的に人と関わるようになったのは良い変化です。クレイのおかげでタイラーは救われました。タイラーがクレイに被害を打ち明けてクレイが抱きしめるシーン、すごく良かったです。

それくらいじゃないですか、ハンナの事件から成長できたことって。相変わらず皆、嘘と秘密にまみれてる。嘘はバレるし、秘密は暴かれる。隠そうとすればするほど、後で真実が明らかになった時の印象は悪く、信用は堕ちる。ハンナの裁判を経ても、誰一人としてまだそれがわからずにいることに呆れました。確かに、家族や友人同士だからって何もかも全てを話す必要はないでしょう。でも殺人事件が起きてるんですよ。シーズン3になってもまだ「誰もが秘密を抱えてる」を続けられたら、いい加減にしろと思いますね。

最終話の最後、真犯人を隠蔽してモンゴメリーに罪を着せたことが正しいことだったのかと迷うクレイに、アニが「あなたの服役が正しいこと?アレックス?どれも間違い」って言ってますけど、アレックスの服役が正しいことでしょう。何言ってるんだこいつら。クレイはハンナの死から命の大切さを学びませんでしたか?失われたら二度と戻らないのですよ?死んだら死後に名誉を傷つけられても回復できないし反論もできません。ブライスはひどいことをした人間で相応の報いを受けるべきですが、ハンナは生か死を自分で選んだのに対し、ブライスは一方的に奪われたのです。その恐ろしさがわからないはずない。子供を失った親の悲しみ、真実を求める親の苦しみも、クレイは見てきましたよね。ブライスの母親の気持ちがわからないはずない。モンゴメリーも当然裁かれるべき人間ですが、犯していない罪を着せられていいわけありません。18歳のクレイにそれがわからないはずない。ハンナの事件を経験したみんなが、わからないはずない。何でシーズン3はこんな話になっちゃったんでしょうね。キャラクターが可哀想とすら思いました。

別にさ、クレイ達には清く正しくあってほしいなんてことは言わないけどさ。わたしだって、モンゴメリーはタイラーに酷い目に遭わされればいいって思いましたし。やられたらやり返せって思うし、酷いことした奴が酷い目に遭わされる展開が爽快な時はあるけど、これは違う。だって見てて「いい気味」って思えるようなスッキリ感がひとつもなくてただ胸糞悪かった。やられた人間がやり返した構図になってないのと、受けた仕打ちが道理に反しすぎていたせいかなと思いました。

変わろうとしていたブライス

シーズン3では加害者にも人間らしい一面があることが描かれました。誰にとっても悪であったわけではなく、同情できる面を見せることで視聴者の心情を揺さぶりたかったのでしょうか。

ブライスは転校したヒルクレスト高校でいじめを受けました。強姦で逮捕されたことは知れ渡ってるので、まあそうなりますよね。直接的に暴力振るった奴らはブライスと何も変わらない加害者ですが、人から距離を置かれたりするのは仕方がないでしょう。で、いじめられる側になって痛みを知ったからか、シーズン2までは「何か悪いことしました?」みたいな態度で全く反省していなかったのに、シーズン3のブライスは自分を変えようともがきます。確かにブライスなりに罪と向き合おうとしているのはわかりましたが、あのサイコパス染みた態度から急転しすぎなような気がしました。いじめられる側になって変わったというのは一定の説得力はありますが、ジェシカやハンナにしたことが悪いことだと認識してなかったようなこれまでの彼の態度や、非常に軽い処分で終わった裁判での態度について、ブライスはどういう考えや感情に基づいてたのか、そこからどうやって心変わりしていったのかをもっと丁寧に描いて欲しかったです。

怒りは先鋭化させる

モンゴメリーもまた、加害者であり被害者でもありました。暴力を振るうホモフォビアの父親に育てられたモンゴメリーは虐待サバイバーと言えます。モンゴメリーの問題の原因は父親にあるのでしょう。しかし、モンゴメリーが虐待サバイバーであることは、彼がした暴力行為を正当化しません。同様に、サバイバーであるケイシー達がブライスの葬式で抗議デモをするという非常識な行為も正当化できません。

サバイバーであるジェシカは運動部に蔓延するレイプ文化を無くして改革を促すために生徒会長になりました。モンゴメリーに毅然とした態度で対峙したことや集会でのスピーチはとても勇敢でカッコよかったです。が、途中までジェシカは過激でした。ジェシカもケイシーもまさに過激になりすぎてる現代のフェミニストを体現してて、嫌いでした。男子運動部廃止を公約にするって、流石にいきすぎでしょう。運動部に問題があったのは確かですが、全員が犯罪者だったわけではありません。体育会系の文化はいじめなどを醸成しやすいと思いますが、女子運動部や文化系でいじめが皆無なわけないのに、男子運動部だけ廃止とするのは不公平です。問題を解決する方法がおかしいですよね。ブライスの葬式でデモをするという案にタイラーが反対した時、ケイシーは「性犯罪被害者じゃない人間は黙ってろ」的なことを言いました。タイラーはこの時まだ明らかにしてないけど性犯罪被害者ですし、性犯罪被害者の意見しか聞き入れないという態度はそもそもおかしい。

怒りは思想や行動をどんどん精鋭化していきます。ジェシカやケイシーだけじゃなくて、クレイもトニーもタイラーも、怒りに囚われて極端な行動に出ますよね。ジェシカが途中で間違いに気づいてくれてよかったですが、現実ではケイシーがもっと悪化したみたな人達がたくさんいて、異常なまでにポリコレが推し進められてる。このドラマもかなりポリコレされてますけど、声のでかい過激なフェミニストにチクリとしてくれたのは良かった。

キャラたちの全く理解不能な心理

シーズン3で登場した新キャラ・アニ、彼女は何がしたいのか意味不明でしたね。クレイに思わせぶりな態度とっておきながら、クレイから要注意人物だと忠告されているブライスとセックスしまくり、かと言ってブライスのことが本気で好きだったわけでもないっていう…。ブライスに同情していたし、本気じゃなかったとしても好意はあったのに、ブライス殺害犯を隠蔽してクレイの彼女の座についたのは一体どういう心理なの?レイプ犯だとわかっていてもブライスを好きになってしまって、友人であるクレイや皆に嫌われたくなくて言い出せなかった…とかならまだわかりますよ?でもそうじゃないもん。偉そうに「ブライスは多くを傷つけた」って言ってたけど、少なくともアニはブライスに何もされてないですよね?なぜ彼女がブライス殺しの隠蔽を率先したの?理解不能すぎるし、キャラとしてうざすぎる。クレイ、真相を知った後でもよくアニを好きでいられますね。

ジャスティンはブライスと8歳の頃からの友人で、いじめから助けてもらったり金銭的な援助をもらったりと、ブライスとの関係は誰よりも深いです。ブライスがジェシカをレイプしたことで友情は壊れましたが、裁判後もジャスティンはクレイではなくブライスに助けを求めてるし、ブライスの死には涙していて、まだ複雑な感情があるように感じました。そのジャスティンがブライス殺害犯を隠蔽するのは一緒にいたジェシカを守るためなんでしょうし、それはまあわかるんですが、展覧会でへらへら笑ってたのは神経疑いました。ジャスティンは唯一応援してるキャラなので幸せになってほしいけどね。あと、ブライスのテープをモンゴメリーのロッカーへ入れる隠蔽工作をチャーリーにさせたのは何故なんでしょう。せめてジャスティンが自分でするべきじゃない?チャーリーが協力する理由も全くわからない。

ジェシカの「わたしたちは多くの苦しみを乗り越えたから幸せになる権利がある」みたいな台詞にもゾッとしました。そりゃ誰にでも幸せになる権利はあるけど、サバイバーだからって殺人を隠蔽したり不当に誰かに罪を着せていいわけないじゃないですか…。

真相を知っている人間がめちゃくちゃいるのって、真犯人からしたら非常に恐ろしい状況じゃありませんか?固い友情があると言っても、何かあるとすぐに感情的になってキツイ言動とる人間ばっかですよ。アレックスとジャスティンにはジェシカを巡っての因縁もあります。全員が秘密を一生守るなんて信じられますか?思春期の友情や愛情が一生続く保証なんてありません。アレックスやジェシカは友人関係や恋人関係が壊れた時、真相がバレるかもしれないと怯えることになるでしょうね。展覧会の様子ではそういう不安とか葛藤みたいなのが大してなさそうで、なんか怖かったです。みんな怖い。

アレックスは本当に友人が大切なら、こんな嘘をつかせてはダメです。殺人犯隠蔽の嘘をつかせてその秘密を負わせるなんて相当な心理的負担ですし大切な友人を苦しめることになりますよ。

最後に

最後のクレイ、めっちゃ虚ろな目して、どっかイッちゃってるみたいな顔してましたけど、大丈夫ですかね。「疲れた」とか言ってたし。そりゃあ疲れたでしょうが、たぶん多くの視聴者も白目剥いてたと思います。

移民のこととかよく知らなくて申し訳ないのですが、トニーの家族が強制送還されたのになぜトニーだけは送還されないんですか?

最終シーズンはどうなるんですかね。モンゴメリーにブライス殺しは不可能だってこと、あのヒルクレストの生徒が証言するんでしょうか。まさか、隠蔽大成功で別の話になったりしませんよね…!?

ちなみに、シーズン2の感想記事の最後で言及した「ネタバレ踏んだ」というのは、ザックが自白する部分のことでした。真犯人ではありませんでしたね。

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