映画『紅い服の少女 第一章 神隠し』ネタバレ感想:台湾ホラーブームの火付け役!妖怪・魔神仔の恐怖

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映画『紅い服の少女 第一章 神隠し』を視聴しました。『呪詛』を見た時に台湾ホラーが気になり、2015年に公開された本作が台湾ホラーブームの火付け役だったということで、視聴してみました。当時日本では公開が叶わず、7年後の2022年にようやく日本でも公開されたそうですね。
ブームの火付け役と言われるだけあって、怖くて面白かったです。私はどちらかと言うと『呪詛』の方がより怖くてゾクゾクしましたが、蓮コラが苦手な方はこちらの方が視聴し易いのではないでしょうか。ただ、こちらにも『呪詛』に負けず劣らずなハードな虫描写がありますので、虫嫌いな方は視聴注意です。私は虫食のシーンと蛾のアップは画面を見れませんでした。虫が出てくる作品は「虫が出てくるよ!」っていう注意喚起をしてほしい(笑)。残虐なシーンがある作品にはそういう注意を事前にお知らせしてくれるじゃない…。
ちなみに、続編にあたる第二章が2017年に製作されています。
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あらすじ
ジーウェイは祖母と二人で暮らしている。恋人のイージュンとは5年目になるが、彼女は結婚を望んでいない。ある日、祖母の友人が山でハイキング中に失踪した。忙しいあまり祖母との関係が希薄になりつつあった中、祖母も失踪してしまう。入れ替わるようにして祖母の友人が帰ってきたが、様子がおかしい。ジーウェイの元に送られてきたカメラには、ハイキングを楽しむ老人達の列の後ろを付いてくる紅い服の少女の姿があった。
作品情報
原題 | 紅衣小女孩 |
---|---|
監督 | チェン・ウェイハオ |
脚本 | ジェン・シーゲン |
出演者 | アン・シュー ホアン・ハー |
登場人物&キャスト
シェン・イージュン
ラジオDJ。ホー・ジーウェイと5年交際しています。しかし、結婚願望はなく、子供を作る気もありません。演じているのはアン・シュー。
ホー・ジーウェイ
不動産勤務。祖母と二人暮らしをしています。イージュンと結婚したがっていますが、彼女にその気がないため喧嘩になってしまい、祖母からは結婚を急かされています。演じているのはホアン・ハー。
ホーウェン・シューファン
ジーウェイの祖母。毎朝孫を起こし、食事やお弁当の用意をしています。5年も交際しているのに結婚しない二人にヤキモキしています。演じているのはリウ・インシャン。
クンおじさん
ジーウェイが暮らしている集合住宅の警備員。演じているのはチェン・ボーチュウ。
ネタバレ感想
台湾の都市伝説・魔神仔
ジーウェイの祖母であるシューファンの友人リンさんの失踪から始まり、シューファン、そしてジーウェイと次々に失踪者が発生する怪異がなんとも不気味な本作。しかも、次の失踪者が発生すると前回の失踪者は戻ってくるというシステムです。リンさんは帰ってきた後また姿を消していてどうなったかよくわかりませんが。リンさんの持っていたカメラに映っていた不気味な紅い服の少女の姿から、失踪は『魔神仔(モーシンナア)』の仕業ではないかと、イージュンは疑い始めます。
『魔神仔』とは台湾で都市伝説的に語られている山の妖怪(精霊)で、サル或いは児童の姿をしており、疚(さか)しい心の者に憑依するそうです。魔神仔の住む山に行くと名前を呼ばれ、大勢に取り囲まれたり、連れ去られる事例が報告されているのだとか。その結界に入ってしまったら、爆竹などを使えば元の世界に戻れるらしいです。どこまでが映画独自の設定なのかはわかりませんが、台湾に魔神仔の都市伝説があり、魔神仔と絡められる不可解な事件がいくつもあるのは事実です。
また、『紅い服の少女』の元ネタとなったのは、台湾のオカルト番組に投稿された動画です。映画にも出てきたように、ハイキング中の列の最後尾に紅い服を着た不気味な子供の姿を映っていたというもので、それが魔神仔なのではないかと言われています。
家族・恋人・知人の絆
本作のキャッチコピーは『そこでは愛する人の名を呼んではいけない』で、魔神仔に連れ去られた人が誰かの名前を言ってしまうと、今度はその名前を呼ばれて振り返ってしまった人が代わりに魔神仔に連れ去られるという設定があります。失踪から戻って来たシューファンが「ジーウェイの名前を呼んでしまった」と取り乱したのは、自分が名前を呼んでしまったために代わりに愛する孫が連れ去られてしまったからですね。
誰もいないのに、身近な人の声で名前を呼ばれたり肩を叩かれたりという現象がとても不気味でした。そんなの絶対振り返ってしまいますよね。怖さも感じるし、どこか切なさも漂う良い設定だと思います。愛しているのに名前を呼んでしまったというシューファンの深い後悔には胸が痛くなりましたし、愛しているからどうなろうとも絶対に名前を呼ばないというジーウェイの強さにはグッとくるものがありました。また、結婚する気なんてないと言うわりにはきちんとシューファンの面倒を見るイージュンも優しいですし、ご近所同士やクンおじさんとの繋がりも強そうでしたし、家族愛や人との絆の描写が温かかったように思います。ジーウェイも昔はおばあちゃん大好きっ子だったのが、大人になって仕事が忙しいことや価値観の違いなどからちょっと邪険に扱うようになっていて、でもいなくなってしまったことで大切さに気付くのは、あるあるなパターンですけど、とても共感しやすい家族愛描写でした。
魔神仔は山の妖怪なので、最初に失踪したリンさんが魔神仔に遭遇したのはハイキング中だったからですが、その後の失踪者は別に山に行ってもいないのに魔神仔の被害に遭ってしまうのは恐ろしいですね。山に悪さをしたわけでもないのに。リンさんも別に山で木を切り倒したわけではないでしょう。とにかく理不尽です。冒頭の説明に出て来た「疚しい者の心に憑依する」設定も最早あまり関係ありません。ただ名前を呼ばれてしまったがために巻き込まれてしまう、しかもその名前を言ってしまったのは絆のある人、と言うのがこのホラーの怖いところです。
残る謎と、残念だった点
楽しめた作品でしたが、ちょいちょいよくわからないままというか謎のままな点があります。
まず、イージュンにジーウェイがいる山の情報を電話で教えてくれたという山岳ガイドさんは何だったんでしょう。救助隊の人曰く、とっくに死んでる人らしいですが。その後特に触れられることもなく終わったので消化不良気味です。続編に出てくるんでしょうか。
失踪から戻って来たシューファンが「今日も来た」「ジーウェイを探すには靴が必要だと言われた」というようなことを言っていましたが、一体誰が来て、誰が言ったのでしょう。魔神仔ですか?なぜ靴が必要だったのかもよくわかりません。
クンおじさんはどうなったんでしょう。連れ去られてしまいましたか?わりと親身になってみんなのことを気にかけていたのに、彼の身のことを誰も気にかけていないし、悲しい。戻って来たリンさんがその後どうなったかも気になります。戻ってきても結局死ぬかおかしくなるかって感じなんですかね。
イージュンが子供の幻覚を見て泣きながら謝っていたのは、中絶もしくは流産の経験があるということでしょうか?子供が欲しくなかった理由ってそういうこと?それとも、子供を望んでいない彼女をああいう形で責めて罪悪感を抱かせてるのでしょうか。さすがにそれは穿った見方ですかね。「ママ」と呼ぶ子供に謝るってことは、やはり彼女が救えなかった(救わなかった)命があったということでしょうね。
最後、珍しくハッピーエンドか!と思いきや、蛾が飛んでるわエコー写真の胎児は魔神仔そっくりだわで全然ハッピーではなさそうでした。あれは、まだ森の中で幻覚を見てるということでしょうか?それとも、現実に戻っているけど、やつらに魂に植え付けられている(?)状態なのでしょうか。やや曖昧で示唆的な終わり方ですが、たぶんハッピーではないことは確かですね。
残念だなと感じた点は、魔神仔のビジュアルですね。不気味さはあるのですが、全体としては恐怖よりも滑稽さを感じてしまいました。姿がはっきりしない時の方がぞわぞわした。一体でもちょっとおかしみを感じたのに、沢山出て来た時は恐怖がより半減して、怖くないことに安堵感も覚えちゃったほど。気持ち悪いけどね。四つん這いで機敏に動くのはサルっぽさを出してるのかもしれませんが、フォルム的にサルというより蜘蛛を想起しました。
最後に
台湾ホラーいいですね。Jホラーより期待できます。ただ、続編を見るかはまだ迷っています。また虫が出てきたら嫌…。第一章でよくわからなかった部分は第二章で解決するのでしょうか。
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