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Netflixドラマ『クイーンズ・ギャンビット』シーズン1全7話ネタバレ感想:男だらけのチェス界を、依存症を抱えた天才少女が駆け上がる!

『クイーンズ・ギャンビット』シーズン1全7話

2020年に配信されて話題になっていたNetflixドラマ『クイーンズ・ギャンビット』(原題:The Queen’s Gambit)を鑑賞しました。王道でわかりやすいストーリーなので鑑賞しやすく面白かったですし、主人公のファッションがとても素敵で目の保養になったのですが、評価されてるほどは刺さらなかったです。これは主人公が好きになれるかどうかですね。ちなみに、チェスが全然わからなくても鑑賞には全く問題ありませんでした。

タイトルのクイーンズ・ギャンビットというのは、チェス用語です。ギャンビットとはチェスでのオープニング(序盤の動き)における戦術のひとつで、駒(通常ポーン)を相手に取らせる代わりに展開や陣形における優位性を得ることを言います。ギャンビットとして定跡化した手はいくつかあり、クイーンズ・ギャンビットはそのひとつです。

あらすじ

舞台は1950~1960年代のアメリカ。事故で母親を亡くした9歳の少女エリザベス・ハーモン(ベス)は、養護院に送られることとなった。そこでは栄養剤と精神安定剤を摂取するよう指導されており、年長であるジョリーンのアドバイスに従って、ベスは寝る前に精神安定剤を飲むようになる。ベスは地下でひとりチェスをしていた用務員のシャイベルに出会い、不愛想な彼にチェスを教えてもらい始める。やがてシャイベルはベスの才能に気づき、ベスは高校のチェスクラブで多面指しをする機会が与えられた。

予告動画

登場人物&キャスト

エリザベス・ハーモン

愛称ベス。9歳で母親を亡くして養護院に引き取られました。用務員のシャイベルとチェスの対局を重ね、その才能を開花させます。後にウィートリー夫妻に引き取られ、チェスの大会へ出場して大金を稼ぐようになりますが、若くして精神安定剤とアルコールの依存症となってしまいます。演じているのはアニャ・テイラー=ジョイ。第一印象は「爬虫類顔だな」だったんですが、どんどん絶世の美女に見えてきます。不思議な魅力のある女優さんです。

シャイベル

養護院の用務員。地下でひとりでチェスをしていたところ、ベスと出会いました。めちゃくちゃ不愛想でぶっきらぼうで怖い雰囲気のおじさんですが、ベスのチェスの才能の気づき、手ほどきをします。全く感情を表に出さないし口数もありませんが、ベスが養護院を出た後も彼女の活躍を密かに応援していました。演じているのはビル・キャンプ。

ジョリーン

ベスと同じ養護院出身の黒人女性。養護院での唯一の友人でした。サバサバしていて姉御肌なお姉さん。演じているのはモーゼス・イングラム。

アルマ・ウィートリー

ベスを引き取ってくれた養母。ベスと同じく精神安定剤とアルコールの依存症気味。子供がいたそうですが、亡くしたのだと思われます。ベスを引き取った後に夫が家を出てしまって生活に困窮しますが、ベスにチェスの大会で優勝できる実力があることを知り、彼女と共に大会遠征に乗り出します。一見、娘のお金で優雅に暮らす依存症の母親ですが、時々的確なアドバイスをくれたり、母を亡くしたベスにとっては精神的な支えとなっていました。肝炎で亡くなってしまいます。演じているのはマリエル・ヘラー。

ハリー・ベルティック

州チャンピオン。ベスとの初対戦時には高慢な男でしたが、敗北後は態度を改めます。アルマが亡くなった後のベスと同棲して肉体関係も持ちますが、ついていけないと去って行きました。去った後も、依存症である彼女の身を案じます。演じているのはハリー・メリング。

タウンズ

ベスが州大会で出会ったチェスプレイヤー。タウンズとベスが初めて出会った時、ベスはまだ少女でタウンズは大人の男性でしたが、ベスはずっとタウンズに恋心を抱いていました。プレイヤーからチェス雑誌の記者となったタウンズは、成長したベスと再会します。曖昧な感じでしたが、彼は恐らくゲイですね。演じているのはジェイコブ・フォーチューン=ロイド。

ベニー・ワッツ

全米チャンピオン。幼い頃から活躍している天才プレイヤーです。オタクっぽい身なりが多いチェスプレイヤーの中で、カウボーイファッションをしている彼は独特でしたし、ものすごい童顔にヒゲもギャップが凄かったです。年齢設定がわかりません。ベスのライバルであり、セフレのようでもあり、後に友情も深めていきます。演じているのはトーマス・ブロディ=サングスター。ゲーム・オブ・スローンズのジョジェン・リード役でした。童顔なのでまだ少年ぽさがありますね。

ネタバレ感想

若く美しい女が男相手に無双しまくる

このお話がここまで支持されてる理由って、たぶん、若くて美しくて頭が抜群に良い女が男だらけの世界で無双しまくったからですよね。強い女性が男性の世界を実力で伸し上がって行くところが爽快なのだと思います。1950~1960年代のチェス界は、ほとんど男性ばかりでした。「女がチェスの大会だなんて(失笑)」の世界です。高校のチェスクラブに所属していたのも男性ばかりでした。女性プレイヤーもいなくはないけど、男性プレイヤーより弱いと見下されてる雰囲気がありましたね。ソ連では女性は男性と戦わせてもらえない、なんて台詞もありました。清々しいほどの男女差別と男尊女卑の世界ですよね。そんな世界で彗星の如く登場した天才チェス少女が次々と男達を打ち負かし、美しい女性へと成長し、敗北を味わいながらも世界の頂点に立つという非常に明快なストーリーです。男性上位の世界で、女性が男性や世間を実力でギャフン!と言わせるのは非常にスカッとするものです。男性側も負けたら潔い人たちばかりで、変にドロドロネチネチしてないのが良かったです。

ベスのファッションや美しさに目を瞠る

最初の頃は地味な服装をしていたベスですが、大会で稼げるようになってから彼女のファッションはどんどんお洒落で洗練されていきます。もうほんとお洒落で、60年代のファッションすごく良いなぁって思いました。ベスだけじゃなくて、高校の上位カーストにいるであろう同級生たちのファッションもすごいお洒落なんですよね。「この人達高校生なの?」ってびっくりするほど大人っぽかった。役の年齢設定がわからなくなってしまう程大人っぽかったです。パステルカラーのふんわりしたスカートとか、頭にスカーフを使ったヘアスタイルとかめっちゃ可愛かった!ファッション見てるだけで心が躍りました。自分にこういうファッションセンスが皆無なことが悲しくなるぐらい。

そして何と言っても、ベスを演じてるアニャ・テイラー=ジョイが美しい。ファッションに全然負けない気品と美貌があるんです。第一印象は特徴的な顔立ちだなぐらいだったんですけど、どんどん絶世の美女に見えてきて、最終的には彼女の美貌に平伏しました。ソ連に行った時のベスは「チェスプレイヤー?女優じゃないのか?」なんて言われてましたもんね。設定上でもベスは美しいキャラなわけで、アニャは完璧にそれを実現してくれました。顔の造形だけじゃなくて、ファッションを含めて振る舞いや佇まいが美しいんです。駒を動かす指の動きや所作も全て優雅で美しいんです。

それでもベスという女性がわたしにはハマらなかった

ベスはチェスの実力は世界最高レベルですし、10代の頃から経済的にも自立できている女性です。養母であるアルマはベスの大会賞金で生活できていたようなものです。頭脳明晰で美人でスタイルも良くてファッションセンスもあって大金を稼げる、女性が憧れる女性像であるベスの唯一の弱点と言えるとしたらメンタル面でしょうか。アルコールと精神安定剤に依存しているという点でわたしの思う強い女性像からは外れるんですよね。完璧ウーマンではないということで人間らしさを感じることはできますが。

ベスの実母であるアリスはひとりでベスを養うことができなくなって元夫を頼りましたが、一度援助を断られた夫は彼女を突き放します。結果、アリスはベスを後部座席に乗せて無理心中を図り、ベスだけが生き残ってしまいました。そのことがベスの心に深い傷を残していますが、彼女はそのことを誰にも言っておらず、ずっと心の底に隠しています。9歳のベスは養護院で精神安定剤を摂取するようになり、養母アルマも精神安定剤とアルコールに依存していたこともあって、ベスは10代で薬と酒の依存症になるのです。アルマも亡くし、大会で失敗すると更に重症化していきます。

個人的に「強い女性」として好きなのは「精神的にタフ」なタイプの女性なので、アルコールと薬に溺れているベスがハマらなかったのかなと思いました。あと、しんどい場面でタイミングよく男性陣が助けに来てくれるのが気になったんですよね。アルマが亡くなってしまった時にはハリーが、ベスがひとりでソ連に行く羽目になった時にはタウンズが、ラスボス・ボルゴフとの決戦前には二人の元カレ(≒セフレ)+男性チェス仲間連中が支えに(電話で)駆けつけてくれるんですよ。男を打ち負かす強い女称賛物語なのに、辛い時には助けを求めなくても男達の方からあれやこれやと世話を焼いてくれる流れでいいの?って感じがしてすごくモヤモヤしたんですよね…。美人は勝手に男が寄って来て助けてもらえていいよねってことです。嫉妬乙と言われたら、認めざるを得ません!(笑)でも、ベニーが「アメリカは個人主義だがロシアはチームプレイだから強い」的な発言をしてましたが、ラスボス・ボルゴフ戦を前にベニーやハリー達が一致団結してベスの力になろうとしたのって、結局ベスが女性だからに帰結しちゃう気がするんですよ。それも若くて美人な女性だから。ハリーとベニーはベスと肉体関係まで持ってるわけですし、タウンズだってベスに対して恋愛ではないにしろ特別な感情を持っていました。全米チャンピオンがずっと男性だったから今までは個人主義だったけど、女性がチャンピオンになったら急にチーム・アメリカが結成されるの、すごい生々しい。もちろん、男どもの力添えのおかげで勝てたという結果ではなく、ボルゴフはチーム・アメリカの予想外の手を打ってきたので、最終的にはベスの実力によって勝利をもぎ取ったわけですが。

アルマという母親

わたし、アルマは結構好きです。夫の稼ぎが無くなったら娘の稼ぎで贅沢な暮らしをしてる上にアルコールと薬に溺れてるというダメな母親でしょうが、そんなダメっぷりがめっちゃ人間臭くて好きです。ベスが理想の女要素盛りだくさんなのに対して、アルマのダメっぷりにほっとしたんです。
それに、傍から見たら良い母親ではなくても、ベスにとってアルマはちゃんと母親だったと思うんです。最初はわたしも「ベスを小間使いみたいに使ってるだけでひどい母親だな」って思って見てました。でも、初潮が来た時、ベスはナプキンの使い方がわからないのに「わかる」って嘘を言って女の子の助けを断りましたが、アルマには「使い方教えて」って言ったんです。あそこで、ベスはこんなアルマでも母親として頼りたいんだって感じました。たぶん、アルマもあそこで気付いたんでしょうね。放任主義な母親でしたけど、友達のようでもあり、女性としての先輩でもあるような距離感でした。彼女たちはお互いに依存し合ってたんだと思います。ベスにとっては、実母につけられた傷を埋めてくれる存在だったんでしょう。ペンパルだった相手との恋に舞い上がってるのも可愛かったです。まあ、ベスはもっと甘えたそうでしたけど。試合はちゃんと全部見ててあげて欲しかった。

依存症の母親だらけ

このドラマ、母親が薬やアルコールに依存している描写が多いですよね。ベスの実母も安定剤を飲んでましたし、高校卒業後に子供を産んで母親になったベスの同級生もアルコール依存症だと思われます。ベスがアルマについて、「閉塞感にもがいてた」と言っていましたが、確かに、女性は結婚したら家庭に入り母親業に従事するものと固定されれば、それが合わない人にとっては堪らない閉塞感があります。ただ、家庭に入っても幸せになっている女性も出すのが多様性だと思うんですけどね。出てくる母親がみんなドラッグorアルコール中毒ってのは流石にどうなの、と思いました。それともこの時代の母親は依存症だらけだったんでしょうか?すぐ「多様性ガー」って言うわりに従来的な生き方を古いもの・悪しきものとされると、「多様性とは?」って感じずにはいられないです。

実母アリスの「強い女にならなくちゃ」も呪いですよね。「女性は家庭に入らなくちゃ」を別のかたちに押し込める呪いです。アリスは「あなたはあなた」とも言ってるので、弱い人は弱い人のままでいいはずなのに、同じ口で「強い女にならなくちゃ」と言うのは矛盾に感じます。結局女性を自由に生きさせてくれない。

父親の愛情が不足気味なベス

アルマをダメ母親だと言うならば、アルマの夫・ウィートリー氏はクズ父親です。あの人何がしたかったの?すごく腹立たしいんですが。ベスを引き取ってすぐ家を出て行きましたよね。アルマが引き取ることを望んだと言い訳していましたが、彼自身がベスに無関心すぎるし引き取って早々にアルマともども捨てた意味がわからなすぎました。アルコール中毒の妻に愛想が尽きたというのはわかりますよ?ベスに対しての責任を果たしなさい。

実父からの愛情も援助も受けられず、養父はあんなんだし、やっぱりベスにとって一番父親的な存在だったのはシャイベルだったんでしょうね。シャイベルがベスの記事や写真を飾っていたシーンが、このドラマで一番泣きそうになりました。愛情を全然言葉や態度で示してはくれませんでしたけど、あのシーンはとてもとても温かかったです。それでもベスには父親の愛情が足りてないと思いますけどね。実父だって他に家庭を持ったとはいえベスの父親であることは変わらないので、彼女に対して責任を果たさないといけませんよね。

リブリウム

ベスが養護院時代から飲んでいた緑色の薬のモデルはリブリウムという精神安定剤だそうです。養護院が精神安定剤を日常的に子供達に与えるなんて、驚愕しました。医師が必要と診断したとかではなく、ビタミン剤と称して全員に飲ませてるんです。こわ~~。後に投与は中止されるんですが、ベスは既に依存症になっていました。
昔のアメリカならありそうなことだ、なんて思ってちょっと検索してみたら、近年の日本の児童養護施設で向精神薬の服用が広まっているという記事を見ました。問題行動を抑制するために医師と連携して必要な児童に服用させてるみたいですが、記事では問題視していました。ドラマを見ながら「なんで子供に精神安定剤なんて飲ませるんだろう」って不思議に思ってたのですが、児童たちを大人しくさせるためだったんですね…。

それにしても、カプセルを水も使わず飲み込むの、凄いですよね。海外の映画やドラマでよく見かけますが、飲みにくくないんですかね。喉に張り付きそう。

チェス強豪国ロシア

チェスが一番強い国はロシアだって、このドラマで初めて知りました。現在でもロシアが一番強いんですね。外でご老人方がチェスしてましたが、ああいう光景は今もあるのでしょうか。

このドラマの時代ではまだソ連で、アメリカとソ連は冷戦中です。冷戦中のソ連でソ連代表がアメリカ代表に敗れたわけですけども、勝者となったアメリカ代表をソ連の選手や民衆があんなに祝福してくれるものなんですかね。もちろん、スポーツマンシップ的にはとても素晴らしい態度なわけで、見てるこちらも清々しい終わりを味わえましたけど。個人的なイメージで違ったら申し訳ないのですが、共産主義の国って特にスポーツに国の威信を懸けてそうじゃないですか。冷戦中によりにもよってアメリカに負けたのに拍手喝采で祝福してもらえるものなのかな~とちょっと疑問に思いました。

マインドスポーツの女性競技人口について思うこと

現在でもチェスのトッププレイヤーはほとんど男性が占めています。そもそも競技人口が未だに圧倒的に男性が多いようです。チェスだけじゃなくて将棋や囲碁でも男性の方が競技人口が圧倒的に多く、女性はプロの方でもわざわざ「女流棋士」などと呼ばれて何となく別枠扱いされてますよね(詳しくないので、今でもそういう扱いが一般的なのか変わったのか知らないのですが)。こういうマインドスポーツにおいて能力に男女差ってなさそうなのに、どうして女性プレイヤーって少ないんでしょう?歴史的に男性がやるものとして見做されてたからなかなか女性のプレイヤー人口が増えないのか、偏見などがない状態でも女性はこの手のゲームをあまり好まない傾向にあるのか、どっちなんだろう。わたしは子供の頃オセロはよくやってましたけど、ほんとにただの遊びで何も考えずにやってただけだしそこまで夢中にはなりませんでした。チェスも並べ方と駒の動かし方くらいは教えてもらった気がしますが、ちゃんとしたゲームはしたことないですし、将棋や囲碁は全然やったことないのでルールも全くわからないです。ただ、わたしが子供の頃は「将棋や囲碁はおじさんがやるもの」っていうイメージを何となく持ってました。『ヒカルの碁』が流行って、そういうイメージも薄らいだ気はしますが。ヒカ碁は漫画もアニメも見てないので知らないのですが、若い女の子も競技者として出てきたんでしょうか。

何手も先が見えるってどんな世界なんでしょうね。凄いです。他人任せな発言甚だしいですけど、女性の競技人口が増えてトッププレイヤーの比率の偏りがなくなるといいですね。このドラマでチェスの競技人口が増えたという記事を見ましたので、女性プレイヤーが増える切っ掛けになるかもしれないですよね!わたしもちょっとチェスやってみたくなりましたが、ルール覚えられなそう。

最後に

ベスにハマれたらもっともっと好きになれるドラマなんだろうなと感じました。でも、そこまで好きになれなくても眼福度は凄まじかったです。